【北京発】Web2.0の登場で新しいサービス展開に関心が高まっている。今年、中国でもっとも話題となったのは「愛情公寓」であろう。会員数はすでに400万人に達し、中国国内でもサービス内容の新規性に注目が集まっている。今回は、この事業を始めた台湾人青年の創業ストーリーを紹介したい。

 「愛情公寓」は「インターネット同居」とも呼ばれ、登録したユーザーは、まずインターネット上に仮想の部屋が与えられる。部屋そのものには何もないため「愛情公寓」独自の通貨を利用して、家具を買い揃えたり、自分の空間をつくりながら理想の相手を招き入れるため準備する。相手が見つかれば部屋に招き入れ、うまくいけば同居生活が始まるという仕組みである。これまではアバターを使った課金サービスの成功例として紹介されることも多かったが、最近は広告用媒体としての価値も上昇、歌手の新譜紹介など使われ方も多様化してきている。

 この「愛情公寓」の創始者である張家銘氏は台湾人。大学在籍中にクラスメイトとともに、大学のベンチャービジネスコンテストに応募したことがきっかけで起業に興味を持った。

 彼らは当時台湾に存在しなかったコミュニティサイトビジネスを始めることに決めたが、Yahoo!奇摩(台湾のYahoo!)が同じサービスを開始したため、当初の計画を断念。特定の世代にターゲットを絞ったサービスでYahoo!との差別化を図ることにした。

 最終的にターゲットにしたのは、比較的自由に使えるお金を持つ18-28歳の女性。彼女らへの綿密な調査を通じて、サイトの色やデザインなどを決定した。サービスをスタートしたのは2003年8月。当時すべてのサービスは無料であったが、次第に有料サービスに移行していった。

 転機が訪れたのは05年初め。ベンチャーキャピタルの智基創投社が投資を行うことを決め、06年にはサイバーエージェント社も投資を決定した。

 「愛情公寓」の成功は台湾でも大いに話題となった。そして、数年も経たずして台湾海峡を越えて中国大陸での事業へと発展した。この事実だけでも成功物語であるが、それだけで台湾社会の特別な関心を呼ぶことはない。

 おそらく、台湾社会の関心はもう一つ先のところにある。台湾と中国大陸の双方に会員を持つこのサイトが、台湾社会と中国社会をどうつないでいくのか?人と人をつなぐことがもたらす結果を台湾社会が好奇心を持ってみていることが、ブームを支えている。
行武良子(サーチナ総合研究所)