【ソウル発】2003年の設立から現在まで赤字が続いている衛星DMB(衛星モバイル放送)「TUメディア」が、700億ウォン(約90億円)規模の有償増資を決定した。TUメディアは3期だけでも売上高172億4000万ウォンに対して純損失208億7000万ウォンを記録。06年12月25日に、加入者100万人を達成したにもかかわらず、大規模な赤字にあえいでいる。

 TUメディアは、新規投資金と運営資金づくりのため昨年12月27日、「大株主を含み第3者割当方式の記名式普通株有償増資を推進中」「具体的な新株割当内訳、発行価額、発行時期など詳細条件はまだ決まっていない」ことを明らかにした。増資には米国の衛星放送会社も参加すると報じられている。

 TUメディアの親会社で29.6%の株を持つ最大株主のSKテレコムは、衛星DMB事業活性化のため325億ウォンを出資する計画だ。TUメディアへの総出資金額は、2509億ウォンにのぼることになる。TUメディアの株はSKテレコムを除いて三星電子が6.9%、MBCo(日本)が6.0%を保有している。

 SKテレコムは現在、TUメディアの大株主だが、放送法により最大株主の持分は33%までと決まっている。第3の企業が増資に参加しないとなると、追加投資額が決まらない状況だ。大企業の持分制限は07年4月から49%へと増えるので、今後増資も予想される。

 韓国で市場シェア50%を超える移動通信キャリアのSKテレコムは、放送と通信の融合時代を迎え、IPTV事業にも積極的に推進している。TUメディアのほかにアルバム製作会社の「ソウル音盤」も買収し、コンテンツ事業を強化している。

 しかし、SKテレコムは、KTやHanaroなど競合する通信会社が新たな成長源とするIPTV事業への進出に苦戦している。同社は、KTと情報通信部、放送委員会が共同で推進するIPTVテストサービスに参加したいとコンソーシアムに名を連ねているが、本業であるネットワーク事業者としてではなく、コンテンツ事業者として参加できたことに満足しなければならなかった。

 TUメディアの社長を含むSKテレコムの役員らがIPTVを提供するHanaroを訪問し、システムとインコーディングに多大な関心を示したとのニュースが報道されてから、SKテレコムがTUメディアを前面に出してIPTVに進出しようとしている、と通信業界では大騒ぎになった。

 衛星モバイル放送に限らず、現在世界で最も注目されている放送プラットホームであるIPTVを確保しないとSKテレコムのコンテンツ投資も持続できないため、SKテレコムがIPTVのためにHanaroを買収するのではないか、とも観測されている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)