日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小田晋吾社長)はSI・サービス事業を年5-6%の成長率で伸ばす目標を立てた。グローバルでのアウトソーシングやソフト開発のリソースを活用することで国内SIerとの差別化を図る。SI・サービスの事業規模では国内で上位クラスに入るものの、HPの特徴をどう出していくのかが課題だった。グローバル企業であることを強みにし、SOA(サービス指向アーキテクチャ)など最新のシステム構築手法を前面に押し出すことで高い成長率を維持していく考えだ。

 日本HPの昨年度(2006年10月期)単体売上高は前年度比約6%増の4300億円あまりだった。このうちSIや保守サービス、アウトソーシングなどの占める比率は約4割。実数では1700億円あまりとみられ、国内情報サービス産業のなかでは上位クラスの売上規模を誇る。欧米で展開するHPの主な現地法人よりもSI・サービスの比率が大きく“高い付加価値を生みだすモデルケース”と位置づけられるほどだ。

 しかし国内の有力SIerの多くがサービス事業を強化しており、「差別化のさらなる推進が競争力を高めるうえでの課題」(石積尚幸・取締役副社長)として浮上していた。

 そこで打ち出したのが、グローバル展開するHPグループのリソースの活用だ。中国・大連の拠点で日本市場向けのアウトソーシングやソフト開発の人員を約1600人を確保。同拠点の総人数のおよそ半分を割り当てた。コールセンターなどのアウトソーシングやソフトウェアのオフショア開発などに対応する。日本向けのリソースのうち開発人員は400人ほど占め、ソフト開発の成熟度を示す国際基準CMMIレベル5の認定を受けるなど、質の高さを売りにする。

 アウトソーシング事業の売上高は昨年度実績で100億円ほどと他のSIや保守サービスの事業規模に比べてまだ小さい。海外リソースを武器に今後3年程度で400億円規模に増やす目標を掲げる。

 国内大手SIerのなかでもアウトソーシングの人員を海外で大量に確保している例はまだ少なく、差別化のポイントになる。国内に比べて賃金が安いことからコストメリットがあるのに加えて、日本の顧客企業が「アジア市場へ進出する際にも有利に働く」と、国境を越えたアウトソーシングやSIの支援が可能と自信を示す。インドでは大連の約2倍に相当する6000人規模の人員を確保しており、将来的に日本向けのリソースが不足すればインドを活用することも可能だという。

 日本HPのSI・サービス事業のうち情報通信業向けが約半分を占めていることから、ここで培ったノウハウの横展開に力を入れる。またSOAをベースとしたシステム設計に実績が多く、業種横断的なSIの拡大も進める方針だ。

 昨年度は不採算案件の発生で苦しんだが、今年度に入り新たに全社のSI案件の品質管理を統括する部門やプロジェクトを監視するPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を支援するPSO(プロジェクトサポートオフィス)を新設するなど再発防止策を打った。海外リソースを積極活用することによる増収効果に加えて、採算面でも改善を図ることで事業拡大を進める。