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ファルコンストア 仮想化を軸に事業拡大へ 常時バックアップで差別化

2007/03/19 19:58

週刊BCN 2007年03月19日vol.1179掲載

 ソフト開発の米ファルコンストア・ソフトウェア(レイジェン・フーアイ社長)は、ストレージの仮想化技術を生かした製品ラインアップを強化することで事業拡大を目指す。ストレージのバックアップをリアルタイム(常時)に行う製品を昨年投入。これまでは夜間など定期的にバックアップを行うバッチ方式が主流だったが、リアルタイム方式で他社との差別化を打ち出し、売り上げを急速に伸ばしている。

 企業で扱うデータは日増しに増えており、1日に1回程度のバックアップでは追いつかなくなっているのが現状だ。同社ではサーバーの仮想化技術を生かすことでリアルタイムにバックアップをとる方式のソフトを開発。システムの負荷を軽減しつつ、万が一ストレージに障害が起きてもデータを失う危険性を軽減させた。

 ファルコンストアは2000年の創業以来、ストレージの仮想化技術の開発に経営リソースを集中してきた。バックアップ用のテープライブラリを仮想化する製品で市場シェアの約7割を占めるなど、バックアップ分野で有力製品を出している。

 昨年初めにはリアルタイムバックアップソフトを投入し、グローバルで約300社から受注を獲得。こうした新製品が追い風となり昨年度(06年12月期)の売上高は前年度比約34%増の約5500万ドル(約66億円)と大幅に伸びた。大手ストレージメーカーに向けたOEMも拡大しており、全社の売り上げの約3割を占める。

 今後も強みとする仮想化技術をベースに「ストレージ関連製品の開発を急ぐ」(アレックス・ジャン・アジア太平洋地区担当副社長)と製品ラインアップを増やすことで売り上げ拡大を目指す。

 たとえばストレージにデータを書き込んだのち、改ざんできないようにするシステムやストレージ内に同じデータが複数存在しているケースで1つにまとめてディスク容量を節約するシステムなどを検討する。前者は通信ログなど重要データの改ざんを防ぐことを目的とする。後者はメールソフトなどで複数人数に同じ内容のメールをCCで送っても、ストレージ内では1つのデータに一元化し、ディスク容量を節約することなどを想定している。

 ストレージバックアップソフトの市場規模は世界で約20億ドル(約2400億円)と同社では予測しており、「成長の余地は大きい」とみる。製品ラインアップを強化し、日本などグローバル市場の展開を加速させることで、08年度末までには昨年度比で倍増近い1億ドル(約120億円)の売り上げを見込む。

 利益面では仮想化技術などへの先行投資がかさんだため、ここ1-2年でようやく利益が出始めた。通期ベースでは05年度に約5%の純利益を出して以降、拡大基調にある。
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