【ソウル発】加熱しすぎた競争を抑えるため1999年に禁止された携帯電話補助金(日本では奨励金にあたる)が自由化される。従来は一定期間以上同じキャリアに加入しているユーザーに対し、数千円程度の補助金しか出せないよう情報通信部が細かくルールを決めていたが、5月からは補助金緩和、来年3月からは規制撤廃で完全自由化となる。日本の奨励金規制議論とはまったく逆の現象が起きている。

 この規制緩和とは別に、情報通信部は05年4月から携帯電話端末に搭載が義務づけられている「WIPI」についても規制を緩和し、搭載を免除することにした。WIPIは韓国独自の技術で開発された無線インターネット標準プラットフォームだ。

 韓国の携帯電話加入者の多くは、携帯電話から無線インターネットにアクセスせず、音声通話とSMS(ショートメッセージ)しか使わない。韓国ではSMSがメールのようにキャリアに関係なく送受信できるからだ。

 WIPI搭載が免除されれば、携帯電話端末は約20%ほど安くなる見込み。特に加入者個人への端末購入補助金と販売奨励金が上乗せされれば、1円端末や無料端末が登場するようになる。

 KTFが発売したWIPIを搭載していない3G端末の値段は33万ウォン(約4万円)前後で、通常の3G端末に比べると10万ウォン(約1万3000円)以上安くなる。これにKTFは3G加入者に対して30万ウォンほどの補助金と10万ウォンほどの奨励金を出している。これを合わせると、端末と手数料はすべて無料になる。SKテレコムもKTFの低価格3G端末による市場攻略に対抗し、無線インターネット機能を搭載しない超激安新機種を発表する予定だ。

 ユーザーにとっては端末が安くなるのはいいことだが、問題もある。WIPIという壁がなくなることによって海外メーカーの低価格端末が韓国で流通しやすくなるのは避けられないからだ。

 また、WIPIを搭載していないというのは無線インターネットが使えない端末ということなので、キャリアの無線データの売り上げ拡大にも悪い影響を与える。

 HSDPA携帯はテレビ電話やグローバルローミングなどが付加収入となるため、このような機能が使えない端末を販売しても意味がないのではないかという議論もある。奨励金の自由化で価格競争だけが独り歩きした場合、WIPI搭載免除で削減された費用をそのままマーケティング費用に回すことになり、キャリアにとっては何のメリットもないことになるかもしれない。それでも通信業は政府の規制ではなく市場の流れに任せるべきという意見が圧倒的に多い。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)