【北京発】2007年3月1日、中国で、特定有害物質使用制限規制である「電子情報製品汚染管理弁法」が施行された。欧州で06年7月に施行された「RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substance)指令」の策定開始を契機に、中国でも同様の規制がスタートした。この規制は、一般的には「中国版RoHS指令」と呼ばれている。

 中国版RoHS指令は、情報産業部や国家発展改革委員会など7部局が共同で02年から策定作業を進めてきた。規制の対象となる物質は、欧州のRoHS指令と同様で、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr6+)、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6つである。

 中国版RoHSは、施行後2段階のプロセスを経て導入される。第1段階は07年3月1日から始まり、電子機器・部品メーカーは、規制6物質について、製品中の含有の有無を明記することが義務づけられている。含有の有無に関する情報は、中国政府が定めるマークを用いて表示する。このほか、梱包材については、自然分解・リサイクルが可能な材料の使用が義務づけられる。ただし、欧州のRoHS指令と異なり、第1段階では、電子製品が規制対象物質を含有している場合でも、指令に準拠した形で表示してあれば中国国内での販売が可能となっている。

 第2段階では、「電子情報製品重点管理目録(以下、管理目録)」リストに基づく認証の取得が義務づけられる。この管理目録に記載された電気電子製品は、6物質の含有率が閾(しきい)値以下であることの認証を政府が指定する機関から受けなければ、中国国内での販売ができなくなる。

 第1段階に入ってから数か月が経過した中国版RoHS指令。現在のところ、中国の電子機器・部品メーカーに大きな混乱は生じていないようだ。メーカーの関心はむしろ、第2段階である認証取得の義務化に対する情報収集に向けられている。第2段階に移行する時期は明確になっていないものの、関係部局で移行に向けた細かな調整が続いている。関係者によれば、中国版RoHS指令は欧州よりさらに厳しいものになるらしい。

 実際のところ、特に電子機器・部品メーカーに大きな影響を与えそうなのは、適用除外製品の項目である。欧州のRoHS指令では、プラズマディスプレイを構成する部品に使用される酸化鉛(PbO2)など、現時点では代替物質を使った技術が確立されていないと判断されるケースについては適用除外を認めている。しかし、中国版RoHS指令では、軍需関連機器と一部の白物家電以外には適用除外を認めない方針だ。したがって、欧州のRoHS指令に対応している製品でも、中国では規制違反に該当する可能性がある。

 このため、第2段階への移行については、中国市場に参入している海外の電子機器・部品メーカーはもちろん、中国国内メーカーの間でも危機感が高まっている。中国PC最大手、聯想(レノボ)の関係者は、「すでに欧州版RoHS指令への対応を完了しており、指令に準拠した製品を出荷している。中国版RoHS指令に対しても第1段階の要求には対応済みだが、第2段階において適用除外が認められない場合、中国国内向け製品の中には対応がかなり困難なものがでてくる。対応コストは巨額にのぼるため、かなり大きな負担だ」と打ち明ける。

 現時点では、第2段階に移行した場合の影響は未知数だ。大手企業を含め、中国国内の電子機器・部品メーカーでは、規制対応に伴う莫大なコスト負担が企業の成長を抑制すると危惧している。ただし、「世界の工場」を標榜する中国の製造業にとって環境規制への対応は必須といえる。規制への対応と競争力維持とのバランスをいかにとるか。今後の中国政府と企業の対応が注目される。
齋藤浩一(サーチナ総合研究所)