通信事業者の日本AT&Tが、SI事業の強化を推し進める。これまでは、欧米などに本社を持つ外資系企業の日本法人に対するサービスが中心だったが、今後は日本企業を新規顧客として開拓することを重視。ユーザー企業を増やすため、ハードメーカーやISVなど国内ベンダーとの協業を進めていく方針だ。同社の湊方彦社長に事業拡大策について聞いた。

 ──グローバルIPネットワークを強みとしているが、このネットワークをベースにしたビジネス強化のポイントは。

 これまでは、海外企業の日本法人に対してサービスを提供してきた。これだけでも事業として成り立っているのだが、さらに国内でのビジネスを加速させたい。そこで、今後は国内企業を顧客として獲得することに力を注ぐ。これは、最近になって日本企業が海外に進出する際、一貫した運用管理の実現に向けて、グローバルIPネットワークインフラを構築したいとのニーズが高まっているためだ。今年は、ネットワークインフラサービスとSI事業の強化で、日本企業による海外市場への進出をネットワークでバックアップすることに力を注ぎ、次の成長基盤を築き上げていく。

 ──国内企業を新規顧客として獲得するうえで重要なことは。

 コンサルティングを含めたSIを展開していくことだ。現在、ユーザー企業が通信事業者に求めているのは、強固なネットワークインフラの構築で、いかに業務の効率化が図れるのか、“攻め”のビジネスを手がけられるのか、という点に尽きる。ユーザー企業のニーズに応えるためには、通信事業者が回線を提供しているだけでは解決できない。そこで、コンピュータシステムも視野に入れたネットワークインフラやサービスを提供していくことが重要だと考えている。

 ──SIerと比べてシステム構築のノウハウがないなど、通信事業者がSIビジネスを手がけるのは限界があると思えるが。

 その通りだ。SIビジネスを強化していくため、ハードメーカーやISVとの協業を強化していく。しかも、国内ベンダーとパートナーシップを深めるつもりだ。具体的には、当社が回線を含めたソリューションを提案し、ベンダーと共同でシステム・サービスを提供していくというビジネスモデルを確立させていきたい。

 ──通信事業者がシステム受注に力を入れていくとなると、SIerと競合することになるのでは。

 確かに、システムを受注するという点や、案件の主導権を握る“プライマリーベンダー”に誰がなるのかという点では競合することになる可能性はある。しかし、だからといってSIerのビジネスを奪うことにはならない。アライアンスを組んだベンダーとは、あくまでも協調関係を保っていくつもりだ。要は、ユーザー企業によるコンピュータシステムやネットワークシステムのリプレースをいかに活発化できるかが、業界全体の発展を左右するのではないか。