【北京発】中国農村部の通信インフラ向上を目的としてスタートしたのが「村村通」プロジェクトだ。情報産業部の主導で展開されてきた農村部への固定電話普及事業の開始からわずか3年で、固定電話の普及にとどまらずブロードバンド(BB)環境までも普及させるという計画に強化されつつある。山奥の農村でもネットで情報を収集する時代が間近に迫っている。

 「村村通」とは、村々で電話が通じるという意味だ。中国の第11次5か年計画(2006-10年)の重要項目のひとつで04年1月にスタート。中国網通をはじめとする、いわゆる六大通信キャリアが参画している。所管する情報産業部にとって農村地域の通信インフラ整備は急務で、折にふれプロジェクトの成果を伝えていることからも、その重要さが分かる。

 そもそも「村村通」プロジェクトの目的は、全ての村に固定電話をひくことだった。それが今では、「村村通BB」として、計画自体の底上げを目指している。沿岸地域でのBB環境が急激に整備されていることはCNNIC(中国ネットワークインフォメーションセンター)の統計からも明らかだが、この波は、思いのほか急速に内陸農村部へも広がっている。

 情報産業部によると、07年4月時点における全国の行政村(行政区画としての村)の電話開通率は98.9%。06年に新規開通した行政村数は1万3754で目標を0.3ポイント上回る速さだ。

 こうした成果が注目されるなか、6月11日には、広東省通信管理局が同省内の「村村通」プロジェクトの完成を発表した。中国電信広東公司によると、同省内にある20戸以上が暮らす自然村の計12万8000か所で固定電話が開通しているという。広東省では、06年までの6年間で基礎通信分野に約1700億元を投資。そのうち約2割に相当する370億元を農村部の通信設備に充てた。「村村通」以外の農村情報化プロジェクトも重視され、関連投資額は16億元にも達するとみられている。

 一方、江蘇省通信管理局は4月、省内すべての村でブロードバンド環境を開通させたと発表した。「村村通BB」の完成は全国初。江蘇省は以前から通信サービスの普及率が高く、農村の固定電話加入件数は921万戸で普及率は61.1%、06年には「村村通」を完了させていた。江蘇電信によると、06年末時点のブロードバンド・カバー率は92.8%。江蘇省内1万8182カ所の行政村のうち、1320カ所でブロードバンド接続が完了していなかったが、江蘇電信は07年頭から2億1000万元を投資してインフラ整備を推進した。
齋藤浩一(サーチナ総合研究所主任研究員)