【ソウル発】次世代ディスプレイとして脚光を浴びているアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)の液晶画面を搭載した携帯電話が、韓国で発売される。三星SDIと移動通信キャリアのSKテレコムは、AMOLEDを利用した携帯電話パネルを共同開発し、9月には製品化すると発表した。

 AMOLEDは現在、携帯電話ディスプレイ分野を掌握している超薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT-LCD)に比べ厚さは3分の1ほどと薄く、色再現率、視野角、応答速度などは圧倒的に優れている。AMOLEDが適用された携帯電話は180度に近い視野角で動画を見ることができるので、携帯電話の画面をTVのようにみんなで視聴できる。映像処理速度も液晶表示装置より1000倍以上早く、より完璧な動画を具現できるためモバイル動画サービスの成長も予想されている。

 三星SDIとSKテレコムはAMOLED携帯電話のために衛星デジタルマルチメディア放送(DMB)、動画コンテンツといったAMOLEDの優秀さを体験できる映像送信技術も共同開発し、AMOLEDを搭載する携帯電話だけで利用できるメニュー画面も新しくつくる予定だ。

 三星SDIは4600億ウォン(約600億円)を投資して工場にAMOLED専用ラインを追加、9月までには本格的な生産を始める。これは世界で初めての大量生産で、携帯電話向けの小型パネルを専門的に生産する。同社は、日本企業の京セラの携帯電話「メディアスキン」と韓国アイリバーのMP4プレーヤー「Clix(クリックス)」にマーケットテスト用としてAMOLEDを対応させ好評を得た。この経験が、SKテレコムとの携帯電話開発にも生かされる。

 三星SDIのAMOLED商用化が進展すれば関連部品企業も恩恵を受けると期待されている。最近、AMOLEDモジュール供給業者であるマグナチップ半導体社とソンイルテレコム社は、本格的に量産体制を整えた。

 三星SDIの関係者は「SKテレコムとの協業でAMOLED大量供給の第一歩を踏み出すことができた。多くの製造会社とパネル供給に関する協議を進めている」と話した。一方、SKテレコムのアクセス技術研究院は「今回の三星SDIとの技術協力を機に高品質映像サービスをSKテレコムの加入者に提供できるようになった。TV電話やモバイルTVといった映像コンテンツのアップグレードでWCDMAでも競争力を高められるようになる」と早期にAMOLEDを導入することでプレミアを狙う。

 三星電子、LG電子といった韓国の携帯電話ベンダーは「技術的な限界によって携帯電話のプレミアム戦略が停滞したが、今回のAMOLED大量生産をきっかけに、世界の携帯電話市場をリードできる端末を開発できるだろう」と期待を寄せる。三星電子も2007年中にAMOLED対応の携帯電話を発売する計画で、世界市場でも早期に販売がスタートすることになりそうだ。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)