マイクロソフト(ダレン・ヒューストン社長)は中期経営計画「Plan-J」に基づき7月3日、10拠点めとなる四国支店(香川県高松市)を開設。また、四国初のIT経営キャラバン隊をスタートさせた。4日、行政と民間が連携して地域活性化に取り組む「IT経営キャラバン隊」の出陣式と、かがわIT経営応援隊のキックオフも実施されたほか、香川県とマイクロソフトとの間で「ITベンチャー支援プログラム」の覚書が交わされた。四国の消費経済は外向き傾向で、SIに関しても四国外に発注する企業が多いという。また、「人口減少」に伴う経済縮小の懸念も大きいようで、いかに地場でIT産業を成長させ、また中堅中小のIT活用を促進し、地域内需を拡大できるかが懸案事項となっている。

 高松市は、大手企業の支店、支社が多く集まっている地域だ。ダレン・ヒューストン社長は「穴吹工務店、セシール、タダノなどの有力顧客が本拠地を構えている」ことや、「ニッチトップカンパニー」と評される日亜化学工業も本社を置いていることを理由としてあげている。

 また、四国の重要なパートナーとしては徳島に拠点を置くジャストシステムの名をあげ、「時として競合するが、コンピュータの黎明期からずっと一緒に仕事をしているパートナー」との認識を示した。

 同支店でも北関東、北陸両支店と同様に、中堅中小に対するIT利用への啓発、導入支援などを行っていくほか、自治体、NPOとの連携による奉仕活動を積極的に進めていく。これまでは中四国支店として、広島に拠点を設置していたため、四国に行くためには海を渡る必要があった。「四国地方のユーザー企業はSIを四国以外の地域に発注する企業も多い。これでは四国のビジネスパートナーの仕事が減少傾向になるかもしれない」(楠瀬博文・四国支店長)と懸念する。高松に支店を置いたことで、「パートナーと地続きの関係になって、密接な関係を築くことができると思っている」(小川秀人・業務執行役員エリアビジネス統括本部統括本部長)と期待を込める。

 パートナーについては、現在登録パートナーが168社だが、今後3年間で約2倍の300社に増やしたい考え。さらに認定パートナーに関しては22社から40社に増やし、合計で340社まで拡充する。これは四国全体のIT事業者670社の半分を網羅する数だ。同社では同じく3年間で、ライセンス売り上げを年率20%増やしていき、現在、同社が持つ四国地方の売上高の1.7倍まで拡大させる計画だ。ヒューストン社長は「日本全国でみると四国の経済規模は3%ほどで、マイクロソフトの国内売り上げに占める割合もその規模に比例している。タイ、フィンランドのGDP(国内総生産)と同程度であり、十分なサイズの経済規模がある」と評価している。

 翌4日には、四国で初となる「IT経営キャラバン隊」の出陣式が行われた。出陣式では香川に地盤を持ち、自由民主党内でu─Japan特命委員会事務局長を務める平井たくや衆議院議員が登壇し、「欧米に比べて日本のIT活用は相当低い。ローカルで活動するとしてもブロードバンドなどで世界は簡単につながるようになった。ぜひITを取り込んで次の時代の扉を開けるような経営をしてほしい」と述べた。

 また、四国経済産業局の塚本芳昭前局長は、人口減少が顕著であることに触れ、「現在、四国は人口408万人だが、2050年には283万人にまで減少すると統計で出ている」と話す。こうしたなかで「競争力を持った企業が成長していくためには、中小でもITを活用して新たなビジネスを作るのが不可欠」指摘した。

 IT経営キャラバン隊は高松市を皮切りに、愛媛県松山市、今治市、徳島県徳島市(順不同)の各都市を回る。国土交通省、経済産業省、総務省が支援し、 12の団体・企業で構成するIT経営キャラバン隊では「IT経営モデル」「再チャレンジモデル」など、複数のセミナーコンテンツを用意している。4年前にもキャラバンを行ったが、受け入れ側の意識も変わり「地方の中小企業がITをどう活用したらいいかを求めてくるようになった」(秋本則政・Plan─J推進本部本部長)。国がキックしたものを民間が進んで実行するフェーズに移ってきたことから、イベントを開催するだけにとどまらず「後に残す」活動に注力する。「商工会議所やITコーディネータ、地場ベンダーとの連携により、マッチングなどを含めた中小企業の支援体制を整える」(秋本本部長)のが前回のキャラバンとは異なる点だ。また、キャラバンで回った商工会議所などに対してはフリースポットを提供している。

 現在、マイクロソフトが主催する「全国IT実践キャラバン 2007」のマイクロソフト号を含めて「88か所1万2000人の来場がある」(白水公康・Plan─J推進本部事業推進部IT経営キャラバン隊担当部長)。今後はマイクロソフト号が08年6月まで、チャレンジ号が08年3月までそれぞれ活動する予定だ。

ITベンチャー育成 県と協力体制で

 7月4日には香川県とマイクロソフトとの間で「ITベンチャー支援プログラム」を実施していくことで覚書を交わした。香川県では人口減少が続き、しかも「目立ったITベンチャーが育っていない」(泉川雅俊・香川県商工労働部産業政策課課長)という課題を抱える。今回、マイクロソフトの協力を得て「外発的」に三次産業の強化を図っていく狙いがあるという。