来年度に骨格固める

 経済産業省は、複数の業界で横断的に情報をやりとりするEDI(電子データ交換)基盤の整備に乗り出す。これまで業界ごとに普及が進んできたこともあり、共通した情報基盤が確立されていなかった。共通基盤を整備することで、リサイクルや製品安全のためのトレーサビリティの実現、産業全体の生産性向上を推進していく考え。電子タグなど最新のデバイスを活用するなどして来年度末までには骨格を固める方針だ。

 経産省の産業構造審議会は今年6月、ITによって生産性を加速度的に高める「ITフロンティアイニシアチブ」の報告書を公表。企業や業界の壁を越えた情報共有を進めるため、EDIや電子タグを活用した企業情報のネットワーク化を進めることが重要だとの認識を示した。これを受けて業際EDIと電子タグの活用を本格的に推進する。

 現状では、業界ごとにEDIの規格や浸透度が異なり、産業全体を網羅する横断的な情報基盤が十分に確立されていない。こうした課題を解決するため、今年度中にも先行的な業種を複数選出し、業界横断的な業際EDIの実現に向けた課題の洗い出しや方法論などを検討。来年度中にも枠組みを固めて、一定の方向性を打ち出す。

 先行業種は電気電子、繊維、建材住宅整備の3業種が候補にあがっており、まずはここで成功事例の創出を目指す。電子タグについては2004年度から約2年がかりで、製造コストの削減に向けた実証実験を行った実績があり、ある程度のコストダウンのめどがついている。来年度は具体的な予算措置も視野に入れつつ、電子タグを応用した新しい業際EDIの研究を行う予定だ。

 製品の原材料や使用した化学物質などの情報も併せて流通させることで、製品安全やリサイクルに役立つトレーサビリティの枠組みづくりも目指す。製品安全やリサイクルは「待ったなしの緊急課題」(伊藤慎介・情報経済課課長補佐)であり、インセンティブが働きやすい生産性の向上の要素とうまく連動させることで、短期間のうちに実現させたい考え。

 担当者レベルによる問題の洗い出しに加えて、各業界のトップによる「情報経済社会基盤整備推進委員会(仮称)」の立ち上げも検討する。経産省が調整役となり、ボトムアップとトップダウンの両面から、これまで障害となっていた業界の“壁”を打ち壊す狙いだ。来年度中に先行業種での枠組みを固め、他の業種への横展開を進める。