山形県立寒河江工業高等学校(佐藤啓校長)は、オープンソースソフト(OSS)教育に力を入れている。情報技術科の齋藤秀志教諭が中心となり、Linux技術認定試験「LPI」の受験や地域連携ボランティアを通じたIT化支援などを積極的に推進する。OSSは導入時のコストは低いものの、維持運用に手間がかかる点が課題。だが、「学校や地域で技術やノウハウを取得すれば、ITライフサイクル全般にわたってコストを下げられる」(齋藤教諭)と、誰でも手軽にITに触れられる環境づくりに取り組む。

 OSS教育に取り組んだのは、齋藤教諭自身が大学時代にLinuxに触れたことがきっかけだった。「技術さえあれば、お金をかけずにさまざまなシステムが構築できる」ことから、学校教育に適していると感じた。寒河江工業高校の教え子のなかにも、OSSに興味を持つ生徒が少なくなく、LPIのレベル1の試験に昨年挑戦。生徒3人が合格した。

 山形県は組み込みソフトを必要とする大手ITベンダーの開発・製造拠点が多くある。組み込みシステムではLinux関連の技術者を求める声が多く聞かれ、地元の工業高校でOSS教育を行う意義は大きい。

 課題もある。寒河江工業では工業科の枠内でOSS教育を実施しているにすぎない。Linuxに詳しい齋藤教諭が転勤してしまうと継続が難しくなる。そこで立ち上げたのが「地域連携ボランティア」だ。折しも、昨年夏に学校や地域社会を巻き込んだ生涯学習を推進する「社会教育主事」の講習を齋藤教諭自身が受けたことも刺激になり、自ら中心となって地域と連携したボランティア組織を今年9月につくった。

 地域連携ボランティアの活動の一環であるならば、周辺の学校の生徒や教師、地域の企業、有志エンジニアなど幅広い連携が可能になる。県内のどこに転勤になってもOSS教育に貢献できる。寒河江工業高校OBが起業したITベンチャーもメンバーに加わった。学校や地域社会、企業にOSSの技術を普及させていくことで、活動のすそ野を広げていく考えだ。

 LPI試験についても教員や生徒を問わず、資格取得を推奨していくことで技量の向上に努める。ただし、学生にとって受験費用が「少し割高なのが気がかり」と話す。「すばらしい試験だが、レベル1の受験で約3万円かかる。社会人ならともかく学生にとっては負担が重い。アカデミック割引を検討してほしい」と、認定機関のLPI-JAPANに学生優待価格の導入を働きかけている。

 今後は学校から地域へと活動領域を広げて、OSS教育の推進に力を入れる。