付加価値戦略を打ち出す

 大手SIerの富士通エフ・アイ・ピー(富士通FIP、伊与田悠社長)は、EDI(電子データ交換)ビジネスを拡大させる。流通業界で普及が進む見通しの新版EDI方式「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)」に対応したサービスや製品を今年12月から相次いで投入。業界に先駆けて新方式へ対応することで売り上げ増を目指す。

 流通BMSは流通業界や経済産業省などが中心となって今年4月に規格化。従来型のEDI手順とは異なり、XMLをベースに流通業界全体で共通して使えるのが特徴だ。EDI関連の売上高のうち流通業向けが約半分を占める富士通FIPでは、流通BMSにいち早く対応したEDIサービス「TradeFront/AE(トレードフロント/AE)と、卸・メーカー向けの受注業務パッケージ「iTERAN/AE(アイテラン/AE)」を今年12月に発売する。

 これまでは発注者である小売業者が主導権を持って独自のEDIシステムを構築するケースが多く、受注者であるメーカーや卸は発注者ごとのシステムに対応しなければならない課題があった。流通BMSが本格的に普及してくれば、統一的な操作で不特定多数の小売業者向けの受注業務を行うことが可能になる。

 一方、EDIサービスを手がけるSIerからみれば、規格の標準化が進むことによって「サービス内容の差別化がより難しくなる」(SIer関係者)との課題が出てくる。富士通FIPが投入する「TradeFront/AE」サービスでは、従来型のEDIとの一部併用を可能にするなど付加価値や利便性を高める。また、「iTERAN/AE」では流通BMSの特性を生かした利便性の高い受注機能を採用することで、今後3年程度で1000社へ納入する計画を立てている。

 発注者である小売業向けの販売管理システム「RetailFront/RS(リテールフロント/RS)」も独自に開発しており、「最新式のEDIサービスと連動して機能する受発注それぞれの業務システムをトータルでカバーする」(小信人・アドバンストビジネス事業部長)。これにより自社のEDIサービスの付加価値を高め、売り上げ増に結びつける。

 同社では、今後3年間でEDI関連の売上高を現在の1.5倍ほどに増やすと強気の目標を立てている。

 流通BMSでやりとりされる品目は、現時点では日用雑貨や加工食品がメインだが、今後は生鮮品やアパレルにも適用範囲が拡大していく見通し。新式EDIの普及がきっかけとなって業務システムの入れ替えが進む可能性が高いとみられている。

 EDI事業を巡っては大手SIerのTISが、売れ筋ERP(統合基幹業務)パッケージを持つオービックビジネスコンサルタント(OBC)と今年8月に業務提携するなど動きが活発化している。