月間150万台規模は世界初

 【ソウル発】三星SDIが、AMOLED(アクティブ・マトリックス型有機発光ダイオード)量産体制に突入、「夢のディスプレイ」時代を切り開いた。AMOLEDは液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)とは違い、厚さが紙のように薄く消費電力が少ない。しかも自然色を完璧に表現してくれるため、次世代ディスプレイとして脚光を浴びている。三星SDIによる月間150万台規模の量産化は世界初となる。

 三星SDIはソウルから2時間ほど離れた天安(チョナン)事業場A1ラインで、9月から月150万台規模のAMOLEDの量産をスタートさせた。このA1ラインを通じて生産されるAMOLEDは、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8インチなど携帯電話と小型デジタル情報機器向け製品。LG電子などが月10万台程度を生産しているが、今回のように大規模生産を始めたのは三星SDIが初めて。

 同社ディスプレイ部門のキム・ジェウク部門長は「2005年11月から総計4775億ウォンを投じて天安に4世代LTPS(低温ポリシリコン)全面発光方式で建設したA1ラインで、07年9月から730×920mmのガラス基盤を使って2.0インチのAMOLED生産を始めた。技術的に優位性のあるモバイル市場をまずは開拓し、ロードマップに合わせてTV分野に拡大する」と発表した。大手携帯電話ベンダーが年内にAMOLEDをメインディスプレイに採択した携帯電話端末を3─4種ほど発売するため、商用化製品も相次ぐ見通しだ。

 生産が受注に追いつかないため、三星SDIはA1ラインの追加増設投資も行う考えで、08年までに現在の2倍となる月産300万台、09年には5倍の750万台の量産化を目指す。07年には携帯電話とMP3プレーヤー向けの2インチ台、08年には3.0─7.0インチ級の携帯端末用を、また09年にはノートPC・TV用の10─30インチのAMOLEDを発売していく計画だ。

 同社は三星電子をはじめ日本、ヨーロッパのメジャー携帯電話ベンダーとAMOLED供給契約を結び、事業の拡大を推し進めている。現在、全売り上げの34%を占めるブラウン管(CRT)の割合を2010年には14%まで減らし、その代わりにAMOLEDの売り上げを20%まで引き上げる事業構造転換を図る計画だ。

 LGフィリップスLCDとソニーが競合していたAMOLED市場に、三星SDIが参戦して技術競争も激しさを増している。ソニーは07年末に11インチAMOLED TVを発売して市場をリードする戦略を推し進め、LG電子からAMOLED事業を譲り受けて市場に進入することになったLGフィリップスLCDは攻撃的なマーケティングを示唆する。これら競合に対して、00年から人材を積極的に確保し研究所にLTPSパイロットラインを構築するなど関連技術特許だけで国内2460件、海外420件と世界最大の特許を確保している三星SDIは「17インチまでのAMOLED TVを開発済みだ。ソニーと比べて、技術は1年ほど先行している」と強調している。

 調査会社のディスプレイサーチ社は07年のAMOLED需要を700万台とみており、2011年には1億1900万台に達し、年平均103%以上の成長を遂げると予測している。
 趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)