収益構造の改革を加速

 日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト、小野功社長)は事業ポートフォリオの改革を加速させる。決められた仕様どおりにソフトを開発する従来からの受託型ビジネスでは十分な利益が確保しにくい現状を踏まえ、独創性の強いソフトプロダクトやサービスを増やすことで収益力を高める。独自商材のグローバル展開にも力を入れる。

 日立ソフトは2010年度までの中期経営計画で、連結営業利益のうち半分を自社プロダクトを中心としたソフト・サービスで稼ぎ出す方針を示している。だが、今年度(08年3月期)は同比率が3割強の見込みで、現状のままでは目標達成が厳しい。これを受けて「より踏み込んだ事業ポートフォリオの改革が必要」(小野社長)と判断した。

 改革の一環として、新規事業の社内公募制度の拡充やワーク・ライフ・バランスの見直しによる生産性の向上に着手。独創性あるオリジナル商材を創出しやすい環境整備を急ぐ。今年度から審査体制や報奨金を大幅に拡充した社内公募では、上期(07年4-9月期)に予想を上回る約230件の応募があり、通期では500件に達する見通し。上期応募分では電子マネー関連のASPサービスや環境対策システム関連、遺伝子解析などが事業化の有力候補にあがった。社内公募に参加した人数は通期でおよそ500人に達し、単体での社員数の約1割に相当する。

 事業化して収益を上げるのが最終的な目標だが、「社員1人1人のビジネスマインドの醸成にも大いに役立っている」と手応えを感じている。来年度も継続させることで、個々人の埋もれた能力を引き出していく方針だ。仕事と家庭生活のバランスを保つワーク・ライフ・バランスでは07年11月、社会経済生産性本部の第1回「ワーク・ライフ・バランス大賞」で大手SIerでは唯一の優秀賞を獲るなど成果も出始めた。

 日立製作所関連のソフト開発では、日立ソフトが開発費を一部負担し、自らリスクを負ってより主体的にプロジェクトを担う取り組みも始めている。ローリスク・ローリターンの従来型ビジネスモデルから、「ある程度のリスクを負っても、それに見合った利益を得る」モデルへと転換させる。独自商材のグローバル展開では日立グループの海外ネットワークをフルに活用して売り込む。現時点での規模はまだ小さいが、数年後には海外売上高比率を1割程度に増やす。

 経営計画では2010年度の連結売上高は今期見通しより300億円余り多い2000億円、営業利益率は同2.7ポイント増の10%を掲げる。ビジネスマインドの向上や働きやすい環境づくりに力を入れることで独創的なプロダクトを創出しやすい体制をつくる。これにより事業ポートフォリオの改革スピードを上げ、目標達成をより確実なものにする考えだ。