ピー・シー・エー(PCA、水谷学社長)は、中小企業の基幹業務向けSaaS(Software as a Service)型ソフトを提供する。4月には、会計、給与、販売管理、仕入・在庫管理、公益法人会計の主力5製品の販売を開始する計画。SaaS型の利用形態・料金を具体的に示したのは、同領域大手で初めて。競合ベンダーのSaaS事業に影響を与えそうだ。

利用・料金体系の明示は初

 PCAのSaaS型ソフト「PCA9 for SaaS(仮称)」は、同社と契約する大手ベンダーが管理・運営するデータセンター(iDC)のサーバーにあるソフトを、月額利用料を支払い利用できる。

 SaaS型で提供するのは、中小企業向け主力業務ソフトである会計ソフト「PCA会計9」、給与ソフト「PCA給与9」、販売管理ソフト「PCA商魂9」、仕入・在庫管理ソフト「PCA商管9」、「PCA公益法人会計」の5製品。「既存のパッケージ版と同じプログラムを利用するため、操作性や利便性をそのまま継承できる」(水谷社長)と、Webサービス型に組み替え開発した他社のWeb型ソフトとは異なり、既存ソフトと同等の機能環境で利用できることを売りにしている。

 ユーザー企業は、自社にサーバーを構築せず、インターネットに接続可能なパソコンにデータを分散処理できる独自のSaaS利用向けソフトをインストールし、同社サイトにアクセスしてライセンスを購入すれば、ネットワーク環境下で複数台の利用ができる。また、PCA9シリーズとテキストファイルベースで連携可能な「PCA認定ソリューション」製品と同SaaS型ソフトとデータ連携ができるほか、SaaS型ソフトで作成したデータをスタンドアローン型の既存パッケージにリカバリーできる。

 同SaaS型ソフトの予定価格は、会計ソフト「PCA会計9 for SaaS」の最小構成で、基本ライセンス72万円と、月額利用料(管理・保守サポート費用)として基本ライセンスA(3CAL付/最大6CAL)の2万5200円が必要となる。同社試算によると、新規導入で3ライセンスを5年間利用した場合は、パッケージ型のデータベース搭載製品「PCA会計9 withSQL」が355万9500円なのに対し、「PCA会計9 for SaaS」がサーバーとソフトの導入や保守費用が削減できることから237万3000円になり、約118万円のコスト削減ができるという。

 iDCには、ブレードサーバーを配置し、完全二重化とデータサーバーを含めN+1型の仮想サーバーシステムを構成して、障害対策を施している。4月から予定する第1次サービス運用では、サーバー容量を考慮して160社を対象にする。主にスタンドアローン版の既存ユーザー企業の移行を促す。「初めての事業展開だけに、利用企業数を制限して万全の態勢を整える」(水谷社長)という。ただ、販売パートナーと協議し、「サーバー使用量の一部を販社にキックバックするなど、SaaS用のインセンティブ形態を決める」ことを含め、順次拡張する計画だ。

 PCAが提供するSaaS型ソフトは、他のiDCなどに貸し出すことも可能。例えば、マイクロソフトとKDDIが展開を予定しているSaaS基盤での利用や大手SIerや他のITベンダーのiDCに適用し、パートナー主導でサービス展開できるように作られている。SOHOや個人事業者を除く中小企業向けの領域で、利用形態や料金を具体的に提示したのは初めてで、これを「叩き台」として競合ベンダーが追随する可能性が高い。