SIerのNECシステムテクノロジー(今泉澄夫社長)は高性能画像処理エンジンを核にGIS(地理情報システム)事業を拡大させる。航空写真から標高や建物の形を自動的に割り出すエンジンで、従来の手作業で測定する方法に比べてコストが大幅に削減できる。東京都など一部自治体で採用が始まっており、今後は民間用途や海外市場などで応用範囲を広げ、ビジネスを伸ばす。

 処理エンジンは「RealScape(リアルスケープ)」シリーズで、ここ5年ほどかけて基礎技術から独自に開発してきた。通常は異なる角度から撮った航空写真を照合して高さを割り出すのが一般的な測量手法だ。これまでは熟練した技術者が地形や建物の形を手作業で測定してきたため時間とコストがかかった。同エンジンを使えば作業時間を大幅に短縮でき、GIS分野での競争力を高める原動力と位置づける。

 大口需要先は自治体で、土地や家屋などに課税する固定資産税の算出に活用できる。手作業で建物の形などを割り出すと数か月かかっていた作業が、自動化によって「数日に短縮できる」(島津秀雄・システムテクノロジーラボラトリ所長)という。自治体から作業を委託されている測量会社などから引き合いが急増している。過去に撮影した航空写真との差を自動的に検出する機能もあり、土地や家屋の変化を可視化。固定資産税などの算出に役立つ。

 RealScapeではデジタル画像の最小単位であるピクセル一つ一つに標高データを関連づけられる。具体的には1メートルの物体を測る能力があり、たとえば、2階建てが3階建てに変わるなどのわずかな動きも見逃さない。航空写真から標高や建物の形を割り出すシステムでは「世界最高水準の精度」だと胸を張る。今後は地震などの災害時に地形や建物の損壊状況を航空写真から迅速に割り出す用途や、都市景観をデジタル3次元映像に生成する用途などへの応用を進める。

 今年度(2008年3月期)はRealScape関連でまだ数億円の売上高に過ぎないが、自治体や民間企業への応用を進めていくことで数年以内に国内での年商を10億円程度に拡大させる。アジア各国でも地図情報のデジタル化が急速に進んでおり、海外市場へも積極的に展開していく方針だ。