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ネットイヤーグループ ビジネス領域を拡大へ ネットビジネスに特化

2008/04/28 20:58

週刊BCN 2008年04月28日vol.1233掲載

 ネットビジネス専門コンサルティング会社のネットイヤーグループ(石黒不二代社長)のビジネス領域が拡大している。インターネットを活用したマーケティング需要の高まりを受けて、動画やモバイル、検索エンジンへの対応など業務の多様化が進展。売上高は2期連続で前年度比50%余の増加となった。ネットビジネスに特化する創業以来のコンサルティングスタイルを変えず、経営資源を集中してきたことが奏功した。

 ネットビジネスが拡大し、最先端のマーケティング手法を必要とするユーザー企業が急激に増えた。ネットイヤーグループはこうした需要の高まりをうまく捉えたことで売り上げを伸ばしてきた。一昨年度(2007年3月期)まで2期連続で前年度比50%余の成長を達成。今年3月には東証マザーズに株式上場を果たした。08年3月期の売上高は計画値ベースで前年度比3割増となる、およそ32億円を見込む。

 インターネットを活用したマーケティングは、従来のウェブやメールだけにとどまらず、ブログやSNS、SEO(検索エンジンへの最適化)、動画、携帯サイトなどへの対応が求められる。こうしたインターネットメディア向け広告の出稿量も増大しており、すでにラジオや雑誌メディアを超える規模に成長。規模だけで見ればマスメディアの一角を占めるが、その内実はユーザー同士のコミュニティが重視されるネットならではのもの。従来のメディアとは性質が大きく異なる。

 このためネットを対象としたマーケティング活動は複雑で、インターネットやネットビジネスに関する専門の知見を持つコンサルティングサービスの需要が拡大している。同社は高度なマーケティングを必要とする大企業を主なターゲットとし、コンサルティングやウェブ制作などを元請けで受注。ウェブ制作会社の多くが広告代理店やSIerの下請けに甘んじ、価格競争に巻き込まれて苦戦するなか、「顧客の要望に沿ったコンサルティングサービスを提供する」(石黒社長)ことで付加価値の高いビジネスモデルを築いた。

 直近の主要顧客は120社余り。過去3年で約2倍に増えた。大企業が多数を占める。元請けの比率は全体のおよそ9割を占め、収益性が高い。07年3月期の経常利益率は9.4%と前年度比約3ポイント改善している。向こう3年間は年率2-3割のペースで売り上げ増を狙う。

 課題は顧客企業の需要増加に応えるだけの優秀なコンサルタントをいかに確保していくかだ。人材の育成に力を入れると同時に、顧客と共同でネットビジネスを立ち上げるなどして持続的な成長を目指す。
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