セイノー情報サービスは、大手運送業者の情報子会社として、物流業向けのシステム開発を手がけてきた。なかでも、車両位置管理システムには15年ほど前から取り組んでいる。以前の車両位置管理システムはクライアント/サーバー(C/S)型中心で、物流事業者向けに開発を行ってきた。だが、サプライチェーンの効率化を図る動きが出てきたため、荷主情報を含めたシステム開発に切り替えた。京セラコミュニケーションシステム(KCCS)から高精度のGPS端末による位置情報システムSAVE PLATFORMの提案があったこともあり、今年ASP・SaaS型の次世代TMS(輸配送管理システム)「ASPITS(アスピッツ)」をリリースした。(鍋島蓉子●取材/文)

KCCSのシステム活用

■93年から手がけ、C/S→ウェブに

 岐阜県大垣市にあるセイノー情報サービス(孫工昇嗣社長)では、KCCSの位置情報システム「SAVE PLATFORM(セーブプラットフォーム)を採用したASP・SaaS型の輸配送管理サービス「ASPITS(アスピッツ)」を主に物流業者向けに提供している。

 同社は1984年、西濃運輸の電算部門が分離し、主にグループ内および物流業向けのシステムを開発・販売する情報システム子会社として設立された。同社と車両位置管理システムとの関わりは古く、93年に国内で静止衛星を使用した「オムニトラックスサービス」を開発したことを皮切りに、デンソーと協力し、事務所側のアプリケーション構築を手がけている。稼働環境は、ホストコンピュータ、C/S型の運行管理システムへと移り変わっていった。

 当時、「サプライチェーンマネジメント(SCM)の観点から、運送業者だけでなく荷主まで意識したシステムに切り替えていく必要があった」と西野友弘・第二開発部 TMSチーム 課長は語る。運送会社の車両動態管理に加え、荷主など、サプライチェーンを取り巻く関係者がトレーサビリティのために利用するといった需要も生まれてきたのだ。

 また、「C/S型のパッケージだったので、システムをカスタマイズして顧客に提供することが当たり前だった」とも述べている。クライアントPCのライフサイクルも短くなってきており、C/S型の売り上げは伸び悩むようになっていた。このことがウェブサービス開発の契機となった。

■「無操作」の情報取得を実現

 ウェブシステム化の構想は02年頃からあった。模索を続けるうち、昨年KCCSから「SAVE PLATFORM(セーブ プラットフォーム)」の提案を受けた。GPSは93年から徐々に通信料金が下がってきており、30分-1時間ごとに1回だった位置情報の取得間隔が、この頃には10分に1回取得できるほどになっていた。だが、KCCSのGPS端末はさらに上を行き、3秒に1回の位置情報把握を可能にしていた。「そこで、SAVE PLAT FORMの採用を念頭に置いて、ウェブサービスの開発を進めていったわけです」(西野課長)。

 SAVE PLATFORMの強みは、3秒ごと・精度±2.5メートルでのデータ取得。「精度の高いモジュールで、当社がMVNO事業者であることから、通信費を大幅に削減できた」とKCCSの原良行・プロダクトサービス事業本部GPIS事業部長は語る。開発期間は検討も含めて6─7か月ほどだった。「KCCSとの協業は、この開発が初めてになる。SAVE PLATFORMのクセや、機能情報などを提供してもらった」(セイノー情報の堀田真也・TMSチーム係長)。物流業では、一部の車両で法令順守のために、速度、距離、時間を計測・記録する「デジタルタコグラフ」の運用を義務づけられている。このデジタルタコグラフは安全運転の管理を担っているが、ASPITSはそれも含め、業務の効率化や可視化を実現するもので「無操作性」にこだわった。各車両から3秒に1度、自動的に位置情報を取得し、その走行中か、停止中かといった状況をシステムの管理画面上で一覧表示する。各車両の位置・進行状況は、取得情報をもとに地図上にリアルタイム表示する。アイドリングや、速度超過車両の把握、配送進捗管理など、詳細な管理を可能にする。また、顧客の要望に応じて、独自の機能を追加し、ASP・SaaS環境での運用を実現した。

 今年1月に発売開始したばかりのASPITSだが、「物流方面を中心に約10社への導入を目指したい」(西野氏)とのことだ。