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リコーとウルシステムズ MFPの簡単操作でBMS対応 2社共同でソリューション開発

2008/05/19 21:00

週刊BCN 2008年05月19日vol.1235掲載

 リコー(近藤史朗社長)とITコンサルティング会社のウルシステムズ(漆原茂社長)は、流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)に対応したEDI(電子データ交換)取引をデジタル複合機(MFP)から簡単に実行できる新ソリューションを開発し、両社とパートナーを通じて販売を開始した。専門知識を必要とせず低コストでEDI取引の煩雑さを解消できる仕組みとして、中堅・中小の卸売や製造の幅広いユーザー企業へ導入を拡大するため、旧来の専用線を利用したVAN(付加価値通信網)/ASPを提供していた事業者などへ販売を促す。

 両社で開発した新しいソリューション「UJX-DirectMFP」は、ウルシステムズが開発して約200社に導入した流通BMS対応ソフトウェア「UMLaut(ウムラウト)/J-XML」を基に、リコーのネットワークとプリンタを連携させるソリューション基盤「Operius(オペリウス)」を使って開発した。

 ウムラウトを搭載した流通BMSサーバー機能に加え「UJX-DirectMFP」を追加導入することで、卸売業者や製造業者は、リコーのMFP「imagioシリーズ」のタッチパネルを操作するだけで簡単にEDI取引が可能になる。開発に携わったリコーの遠藤裕史・Operius商品企画グループ担当アシスタントマネジャーは「受発注から請求・支払い業務を伝票レスで効果的に行うことができる」としており、新たなシステム開発や複雑な設定の負担がなく、MFPを設置するだけで流通BMSに対応できる業界初の仕組みと説明する。

 これまで、電話回線を利用したVANやEDIの専用線、電話やFAXで受発注業務を行っていた中堅・中小のユーザー企業は、取引先ごとに個別のフローが存在していたり、店舗、支社、本社で処理単位やタイミングが異なるなど、潜在的な課題が存在していた。ウルシステムズの土田浩之・ソリューション事業部長は「卸売業者や製造業では、取引先との受発注業務で販売管理費の10%を使っている。また、アナログ回線のため発注までに2時間を要することもある。今回の新ソリューションを使えば、2分で処理ができるようになる」と、インターネット環境を利用して潜在的な課題を解決できるソリューションであることを強調する。

 リコーにとってはMFPと基幹システムを結ぶ初の本格的ソリューションであり、ウルシステムズも出力部分で既存ユーザー企業の課題を解決できる。双方にメリットがあるのだ。ウルシステムズは「UJX-DirectMFP」の販社であるインテックやダイワボウ情報システム、NEC系列販社など10数社を通じて、新ソリューションを提案する。一方、リコーはすでに「imagioシリーズ」を導入していたり、MFPのリプレースを検討する他社機の市場などへグループ販社やパートナーのディーラーなどを介して導入を促す。
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