セイコーエプソン(花岡清二社長)は、プリンタ事業の新領域を開拓する。戦略的な製品ラインアップとして6月3日には、単機能プリンタ、デジタル複合機(MFP)、スキャナの新製品をリリース。新製品のMFPでは、A3カラーMFP市場で90%弱を占める「印刷速度は毎分21枚以上」と「月間印刷枚数3000-5000枚」の領域の利用環境にある中規模企業層に攻め込む。最近この領域にはリコーやキヤノンなどコピーメーカーが入り込んでいるが、「重複しない領域」(エプソン販売の小野潤司・プロダクトマーケティング部部長)と判断。積極的な販売展開を行う。

 今回リリースした新製品は、デスクトップ型で給紙増設可能なA3カラーページMFP「LP-M6000シリーズ」、タワー型でヘビーデューティー向け同MFP「LP-M7500シリーズ」、単機能A3カラーページプリンタ「LP-S7500シリーズ」、A3スキャナ「ES-H7200」の4機種で、6月下旬から7月下旬にかけて販売を開始する。

 ビジネス機械・情報システム産業協会によると、国内プリンタ市場は全体的に成熟化する一方で、カラーMFP市場のみ成長が見込めるという。

 同社の分析によると、このうちA3カラーMFP市場は印刷速度が毎分21-30枚市場で87.5%を占める。エプソン販売の中野修義・マーケティングセンター長は、これに加えて月間印刷枚数が3000-5000枚に及ぶ利用層を「メインターゲットとして、今回、その領域のスペックに対応した新しい製品を投入した」と、大きな方針転換を図ったと語る。

 これまで同社のA3カラーMFPには毎分印刷枚数がカラー10枚/モノクロ40枚の「LP-M5600シリーズ」と、価格が100万円以上する高速機の2シリーズのラインアップしかなく、今回の対象者に向けた中間機はなかった。このため、それに合致するA3カラーMFPの新機種を開発した経緯がある。

 この領域には、リコーやキヤノンなどコピーメーカーがカラーMFPのエントリー機の販売を強めている。小野部長は、「コピーメーカーのMFPはコピーチャージ方式で1枚当たり20-30円かかる。当社製品は同方式でなく、保守料金や紙代などを含めたコストが11.9円と安い」と、コピーメーカーのカラーMFPでは機器費とチャージ料が高いため二の足を踏んでいたユーザー企業に「近くに置ける複合機」をうたい文句に売り込んでいく。

 一方、同社は「日本市場に集中する」(セイコーエプソンの山崎英雄・ビジネス機器企画推進部部長)ことも明言。「タイムリーに市場へ機器を投入できなかった」(同)ことで発生していた機会損失をなくし、国内を中心に売上高を伸ばしていく方針に転換した。