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日立 ブレードでSMBを開拓 競合への対抗と新ニーズをカバー

2008/06/23 21:02

週刊BCN 2008年06月23日vol.1240掲載

 日立製作所(古川一夫社長)は、ブレードサーバーでSMB(中堅・中小企業)市場でのユーザー開拓を本格化させる。新製品「BladeSymphony SP」を投入することにより価格面で競合他社に対抗するとともに、信頼性や可用性を重視するSMBのニーズにも対応していく。これにより、ブレードサーバーの売上高を前年度より1.5倍に引き上げる。

 これまで同社がブレードサーバーで獲得したユーザーは大企業や中企業が中心。中堅企業向け製品「BS320」の発売でユーザーのすそ野は広がったものの、「まだまだSMBを開拓したとはいえなかった」(宇賀神敦・統合プラットフォーム販売本部長)と認める。そこで、このほど簡単導入を追求した新製品「SP」を市場投入した。

 同製品は、ユーザーと販売代理店の声を具現化した製品という。サーバールームがないユーザー企業に対応するため、45dB以下の静音性を実現したほか、OSや管理ソフトがインストール済みで導入を簡便化した。価格は400万円台と他社の低価格モデルに比べて高いが、「ソリューション提供の際は、競合に引けをとらない価格で見積もる」としている。これにより、他社が開拓しようとしているSMB市場でユーザー企業を本格的に開拓していく。

 また、同社が狙う領域は「高信頼性や可用性を重視するSMB」という。そのため、故障時に業務サーバーのブートディスクを予備サーバーに自動的に引き継ぐシステム構成「N+1コールドスタンバイ」に9月から対応し、「競合が開拓し切れない領域でもユーザーを獲得していく」方針だ。

 SMBの開拓には、販売代理店とのパートナーシップを深めなければならない。「SIerの自社アプリケーションを『SP』に搭載できるような環境を整える」という。販売体制の強化についても、多くのユーザーを獲得できたアプリケーション搭載の「SP」をパッケージ販売できるような仕組みも検討するとしている。

 ブレードサーバーを取り巻く環境は統合化や仮想化という観点から、大企業やデータセンターの導入が進み、踊り場を迎えつつある。メーカーにとっては、ユーザーのすそ野を広げる段階にきている。これまで大企業が中心だった日立が、今回の製品でどれだけSMBを開拓できるかに注目が集まる。
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