京セラコミュニケーションシステム(KCCS、小林元夫社長)は、データセンター(DC)事業の業種展開を加速させる。仮想化技術を使ったオンデマンドサービスなどを拡充することで、まずは製薬や医療分野での新規顧客を増やす。同社DC事業はこれまで、携帯電話向けインターネットサービスをメインとしてきたが、価格競争が激化。将来的に十分な粗利益が得られない可能性が出てきた。これを受けてさまざまな業種業態の顧客を増やすことで収益拡大を図る。

 同社は、携帯電話向けインターネットサービスやコンテンツ配信、課金・認証などモバイルインターネット関連でDC事業の売り上げ全体の約4分の3を占める。しかし、携帯電話向けサービスの価格競争は激しさを増しており、「より付加価値の高いビジネスへのシフトを急ぐ」(DC事業を担当する松木憲一取締役)必要が出てきた。そこで打ち出したのが仮想化技術やオンデマンドサービスメニューの拡充による多業種展開だ。

 事業再編やIT資産の最適化を目的として、サーバーやストレージ、クライアントの統合化需要が高まっている。製薬や医療分野では外資系を含めてM&Aが盛んに行われており、ITの統合化が活発だ。「まずは、こうした動きがある業種業態をターゲットにする」と、従来のモバイルインターネット事業に次ぐ“第二の柱”の確立に力を入れる。

 新規顧客を獲得する手段のひとつとして、今年10月をめどにサーバーとストレージのオンデマンドサービスをスタートする。顧客が必要とするだけのサーバーやストレージのリソースを1か月単位で貸し出す。アプリケーションサーバーなど基盤環境を揃え、顧客にITリソースのみ提供するオンデマンド型のマネージドホスティングサービスで、受注後、最短2営業日でリソースを提供できるものだ。

 得意とするモバイル向けコンテンツ配信やインターネットのフロントエンド部分は、需要の変動が極めて大きく、DCのリソース配分の予測が難しい。このため業界に先駆けて最適なリソースをオンデマンドで提供する仮想化技術に取り組んできた。昨年までに京都の主力DCのインフラ設備を刷新。東京に2番目のDCを開設し、東京と京都で相互にバックアップする体制も構築した。最新のブレードサーバーをベースとした仮想化システムへの対応を可能にしている。サーバーの仮想化ソフトは主にVMwareを使う。

 これまで弱かった業種業態への対応を加速させることで、昨年度(08年3月期)およそ100億円だったDC事業の売り上げを向こう2-3年のうちに150億円程度に拡大させる計画を立てる。