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新日鉄ソリューションズ ソフトウェア工場化を推進 品質向上やコストを抑制

2008/07/14 21:04

週刊BCN 2008年07月14日vol.1243掲載

 新日鉄ソリューションズ(新日鉄SOL、北川三雄社長)は、国内外のソフト開発拠点をネットワークで結んだソフトウェアファクトリー化を推進する。事業部や地域の違いによる品質のバラツキや納期の遅れをなくし、開発コストを抑制するのが狙いだ。ソフトウェアファクトリーを統制する選任組織を軸に、開発環境やセキュリティを統一。作業の進捗を管理することで生産性の向上を目指す。

 ソフトウェアファクトリーは国内の開発拠点20か所あまり、中国とベトナムの海外拠点や開発パートナーを対象としている。金融や製造などの業種を担当する事業部や地域、開発委託先による開発環境の違いをなくし、品質を向上させる。今年4月に新設したソフトウェア開発センターに約30人の専任人員を配置し、国内外の開発環境のコントロールを図る。

 同社ではシステムライフサイクルの標準を定めた1000ページにおよぶ文書を作成。同センターはこの標準に基づく開発環境の整備や技術支援などを行う。

 発足から3か月が経過した時点で、社内に持ち帰って開発するソフト開発案件のうち約3分の1にシステムライフサイクル標準に基づく開発手法を適用。昨年度からの継続案件や顧客企業と個別の開発手法を決めたケースなどがあるためすぐには適用率100%とはいかない。だが、来年度(2010年3月期)後半には「持ち帰り開発案件の7-8割に適用する」(岩橋良雄副社長)と適用率を段階的に高めていく方針だ。

 ソフト開発ではセキュリティ上の観点から客先に常駐して開発するケースがある。この場合、人員を物理的に顧客が指定する事業所に配置しなければならず、コストがかさむ。一方、社内に持ち帰って開発するケースでは、原則として国内外の開発人員を最も効率のよい形でネットワーク上のソフトウェアファクトリーに配置できる。技術的に高度な案件になればなるほど効果が大きく、品質やコストの面で顧客にもメリットがある。

 開発環境を統一し、セキュリティを一定レベルに保つ仕組みをつくれば、「自社内での開発案件が増える可能性がある」(渡邉俊治・ソフトウェア開発センター所長)と、ソフト開発ビジネスの収益力を高めることにつながる可能性を語る。
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