NTTデータ(山下徹社長)は、SaaS基盤の構築に力を入れる。既存のデータセンター(DC)設備の一部を改良し、SaaSなどのオンデマンドサービスに対応した環境を整える。改良DCは約300ラックの規模で今年10月に稼働させる。すでに営業活動を始めており、社内の他の事業部で先行するSaaSサービスとの連携も進める。顧客の要望を分析したうえで、年度内をめどに新稼働するDCをベースにしたSaaSサービスの方向性を固める方針だ。

 同社は全国18か所、計68万㎡のDCを運用するが、顧客企業がIT機材を持ち込む従来タイプの〝預かり型〟のケースが多い。だが、オープン化によるダウンサイジングが急ピッチで進んだことにより、「アウトソーシング案件の受注の速度より、IT機器が小型化するスピードが上回る」(高田久寿・営業統括部データセンタ営業担当部長)と、DCのスペースが余剰になる傾向が出てきた。

 そこで打ち出したのが既存設備の有効活用だ。SIerで最大規模のDC設備を持つ強みを生かし、都内のDCのリニューアルに乗り出す。今年10月に稼働する新設備の投資額は10億円近く。建物をゼロからつくる場合、数十億円から100億円規模の投資が必要とされるが、既存設備を活用することで初期費用を抑えた。従来どおり、IT機材を預かるメニューも用意しつつも、軸足はSaaS型オンデマンドサービスに置く。

 集積度が高いブレードサーバーに対応し、ハードウェアリソースを有効利用する仮想化ソフトも活用する。1ラックあたりの電源は高規格の6kVAを予定しており、効率のよい直流電源の設備も一部試験的に導入する。持ち込み型と異なり、NTTデータ側で最もパフォーマンスの高いIT機材やソフトウェアを揃えることで、「競争力のあるITリソースを提供する」(小林誠・ITビルソリューション営業担当課長)考えだ。

 1つのシステム上に仮想的に複数のアプリケーションを走らせ、複数のユーザーで共有する方式では、従来の独立したシステムを特定の顧客に提供するサービスに比べて2-3割ほど価格を抑えられる見通し。まずは、比較的標準化が進んでいるネット通販などウェブ系システムの受注を想定している。NTTデータでは複数種類のアプリケーションサーバーを用意するなどして、顧客が業務システムについて自由度の高い選択や設計に意識を集中できるようにする。受注状況を見ながら、「第二期のDCリニューアル工事も視野に入れる」(高田部長)と、既存DCの改良に意欲を示す。

 富士ソフトも10月からSaaSサービスを本格的に始める。京セラコミュニケーションシステムは機材やミドルウェアを自前で揃え、顧客にはITリソースのみを提供するオンデマンドサービスをスタートさせる。大手SIerのDCをベースとしたサービス競争に拍車がかかりそうだ。