伊藤忠テクノソリューションズ(CTC、奥田陽一社長)はデータセンター(DC)の省電力化に力を入れている。今年10月、都内に開設する1000ラック規模の次世代DCでは、IT機器の冷却効率を高めたり、電力ロスの少ない直流電源を積極的に採用。DCの電力効率を示す指数PUEで、省電力推進の国際団体グリーン・グリッドの目標値を上回る1.46の実現を目指す。

 電力効率を高める推進役の1つとして位置づけているのが、国内販売代理店契約を今年4月に結んだ米サーバー・ストレージメーカーのラッカブルシステムズの製品群だ。直流電源に標準で対応し、かつ機材の奥行きが従来の半分であるため、標準サイズのサーバーラックの前と後の両方に機材を格納できる特徴を持つ。直流電源化により最大30%の電力削減が可能で、ラック内部の集積度を高めることで冷却効率も改善できる。

 IT機材の大半は交流を採り入れて、内部で直流に変換して消費する。電力会社から交流で送られ、DCに受け入れる段階でいったん直流に変換。その後、何度かの変換を経て最終的にIT機材へ交流で送られる方式が従来は多くを占めた。変換のたびに電力ロスが発生していたが、ラッカブルのIT機材は直流をそのまま採り入れるため、「電力ロスを最小限に抑えられる」(唐木眞・DC事業企画室事業開発部長)。

 ただ、直流は電圧が低下しやすく、扱いが難しい課題がある。このため既存のサーバーメーカーは直流化への対応にバラツキがみられる。ラッカブルは他のサーバー・ストレージメーカーに先駆けて直流電源を全面的に採り入れたことで次世代DCを中心にシェアを急速に伸ばす。近年のグリーンITへの関心の高まりも追い風となって、「顧客企業からの引き合いも強い」(佐々木信和・DC営業本部アウトソーシング営業第1部部長補佐)と、ラッカブル製品の販売に手応えを感じている。

 また、奥行きが従来の半分のIT機材をラックの前後から差し込み、同時にラックの外側から内側に向けた空気の流れをつくる。熱せられた空気はラックの内側から上部の排出口に向けて一括して排出。DC室内に熱が分散することを防ぐことで冷却効率を高める。

 DCにおける直流電源については、国内ではNTTグループが早くから技術開発に力を入れている。NTTデータやNTTコムウェアの新型DCでも採用される予定だが、CTCのようにNTTグループ以外のSIerで直流電源に積極的な動きを起こすのは珍しいケースだ。