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発掘! 急成長ネットベンチャー リンノ、大学生向けSNSで存在感 開設後1年未満で3万人の会員

2008/10/06 21:10

週刊BCN 2008年10月06日vol.1254掲載

 サービス開始後1年にも満たないネットサービスが大学生に人気を集めている。リンノ(松本龍祐代表取締役)が展開する大学生限定SNSサービス「LinNo」だ。大学ごとに個別のSNSサイトを開設・運用するユニークなコンセプトと大学生の要望にマッチした機能が評価され、会員数は3万人以上。そのサービスモデルに着眼したSBIグループは、自らが運営するファンドを通じて同社に出資する。大学生の要望を漏れなく吸い上げるために、従業員に多くの大学生を採用するなど経営手法も独特。異色のネットベンチャーが展開するSNSサービスが、急スピードで大学生に浸透している。

 「LinNo」は大学生限定のSNSサイトで2007年12月に開設。松本龍祐代表取締役が大学生時代に考案し、サービスを開始した。大学ごとにSNSサイトを設けているのが特徴で、現在、関東地方の18大学、関西地方の2大学で展開中。会員数は1-2年生を中心に3万人を超えた。大学生が気に入りそうな機能を満載しているのが特徴で、各大学の周辺にある飲食店の割引クーポン情報を掲載したり、講義資料を共有したりする機能などを搭載する。

 大学向けSNSサイトは海外にも存在する。代表例は米国の「Facebook」や中国の「Xiaonei」で、「LinNo」はそれらの日本版といった位置づけだ。順調に会員数が伸びており、来年3月までには会員を10万人に増やす計画。中長期的には50万人を目指す。ビジネス目標としては、企業からの広告収入や大学生向けのマーケティング支援サービスで2010年度までに単月黒字化を狙っている。現在は広告よりも大学生向けに情報提供したい企業や商品をPRしたいメーカーなどからの協業の話が多いという。

 松本代表取締役は、大学生に受け入れられている理由について「大学生のニーズをしっかりと汲み取れているから」と説明。また、「大学生はサークルなどコミュニティでの結び付きを重視する傾向が社会人や高校生以下の学生より強い。会員限定で情報を発信・共有するというSNSのコンセプトにもマッチしている」と、SNSと大学生の相性が良いことも理由に掲げている。

 リンノは従業員の多くに大学生を採用、執行役員にも現役大学生がいる。「大学生の要望は大学生が一番分かる」という方針から大学生を積極採用する。一方で、システム開発にはコスト削減を目的にグループの開発会社の上海子会社を活用。オフショア開発を取り入れるしたたかな面もある。今後は会員が大学を卒業しても自社のSNSサイトを利用してもらえるように、社会人向けSNSサイトを考案中。専門学校生向けSNSサイトも計画している。

profile
松本龍祐代表取締役
1981年、神奈川県生まれの27歳。中央大学経済学部在学中の2006年にリンノの前身であるSNSサービス開発・提供のコミュニティファクトリーを設立し代表取締役に就任。08年3月にリンノを設立、コミュニティファクトリーのトップとの兼任で代表取締役に就く。
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