導入しやすい品揃えに

 ITコンサルティング会社のウルシステムズ(漆原茂社長)は、中小の流通関連企業をターゲットとした流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)システムの普及促進に力を入れる。独自に開発した流通BMSシステムのウェブアプリケーション版を10月に発売。リコー製の複合機を端末に使う方式に引き続いて、中小流通業が導入しやすい形態の品揃えを強化することでシェア拡大を目指す。

 流通BMSはXMLをベースとした次世代の流通向けEDI(電子データ交換)で、すでに大手スーパーなどで採用が本格化している。ウルシステムズでは、業界に先駆けて流通BMS対応のEDIを製品化。2007年10月には食品スーパーの共同仕入れ機構であるシジシージャパン(CGC)に納入・稼働にこぎ着けた。大手スーパーでは2000-3000社の食品メーカーや卸と取引があるとされ、その取引先の多くを中小企業が占める。この領域にどう流通BMSを普及させるのかが大きな課題になっている。

 従来の受発注をメインとするEDIとは異なり、食品トレーサビリティやサプライチェーン・マネジメントなど幅広い領域に影響が及ぶ流通BMSは、流通業界全体で業務改革を遂行してこそ本来の効果を発揮する。CGCのみならず、イオンやダイエー、ユニーなど大手スーパーが流通BMSに率先して取り組んでいるものの、「中小流通業は依然として導入のハードルが高い」(漆原茂社長)のが実状だ。大手だけが使うEDIでは業界全体の業務改革は“絵に描いた餅”であり、中小への普及促進が強く求められている。

 そこでウルシステムズでは、リコー製の複合機で流通BMSに準拠した取引を行える製品を今年4月に業界で初めて投入。10月からは通常のインターネットブラウザで利用できるウェブアプリケーション版を製品化した。ウェブブラウザや複合機を端末とする方式は、従来のクライアント/サーバー型に比べて導入のハードルが低い。これにより自社製の流通BMSシステムのシェア拡大につなげる考えだ。

 昨年度(08年3月期)は、自社製の流通BMSシステムのサーバー導入型より簡易なクライアント導入型のライセンスが120本近く売れるなど、中堅・中小での需要が高まっている。クライアント型に比べて、さらに導入の敷居が低い複合機やウェブ型を投入することで、今後需要の拡大が期待される中小領域へのビジネスを本格化させる。同社の流通BMS関連事業を巡っては、先行投資がかさんだこともあり、ビジネス的には厳しい状況。中小企業など納入企業のすそ野を広げていくことで、収益力の強化を進める。