SIerの日本オフィス・システム(NOS、尾崎嵩会長)はオンデマンド型のERPサービス事業で今年度(2008年12月期)、通期で黒字化する見通しを示した。初期ライセンス料が要らず、定額の月額料金でサービス提供するビジネスモデルに挑戦してきた同社は、事業スタートから3年余りで通期での損益分岐点をクリアする見込み。SaaSの普及などサービス型モデルの認知度の高まりも追い風となり、収益の柱の一つとして本格的に機能し始める。

 現行のパッケージソフトをライセンス販売する“売り切り型”のモデルが陳腐化することを見越し、業界に先駆けてオンデマンド型ERPサービスを2005年10月に立ち上げた。「FineCrew NX(ファインクルーNX)」と名づけ、まず最初に財務会計システムをリリース。その後、販売管理などに続き、今年9月にはワークフローを投入。来年夏をめどに生産管理システムの開発にも着手する予定で、事業拡大に力を入れる。

 ただ、納入時にソフトウェアライセンス費用を得られないため、短期間で売り上げが立ちにくい特性がある。そのため、サービス開始から3年余りかけ、通期で黒字化するまでにこぎ着けた。FineCrew NXでは、ユーザーごとのカスタマイズなどのシステム開発ビジネスを手がける一方、汎用的なサービスモジュールを切り出して複数のユーザーで共有する方式を推進。機能拡充を進めてきた。原則としてシステムはNOSのデータセンターに格納し、ユーザーはオンラインでソフトウェアリソースのみを利用する形態である。

 ユーザーからみれば、初期導入コストが安いのは大きな魅力である。かつ制度改正への対応や基本的なバージョンアップは月額料金の範囲内でNOSが行うため、維持管理の手間も省ける。こうしたことがユーザーの支持を得て、当初計画したペースを上回る27社に納入してきた。SaaSの普及もあり、「情報システムを所有する従来の形態から、利用する形態へと変わりつつある」(尾嶋直哉・取締役常務執行役員)と、ユーザー意識の変化を先取りしたことが受注増に結びついた。向こう3年間で累計100社への納入を目指す。

 課題は、納入するキャパシティに限りがある点。顧客の要望に合わせた開発を行いながら汎用性の高いモジュールを増やしていく手法であることから、他のSIer経由での間接販売に馴染まない。財務会計の現在の機能数はリリース初期のおよそ3倍に増えるなど、顧客からのフィードバックを製品に随時反映する。直販に頼る現状では「年間30社の納入が限界」(岩井直樹・FineCrew NX推進室長)。納入する企業規模や業種を絞り込むなど、効率的なマーケティングが求められる。

 来年夏には生産管理システムの開発に着手する予定であることから、追加の投資が必要になる。生産管理は、販売管理同様にカスタマイズが増えやすい。だが、顧客企業の基幹業務システムすべてを自社データセンターに預かり、より完成度の高いオンデマンドサービスを目指すNOSにとって生産管理は「避けて通れない」(尾嶋常務)と開発に踏み切る。顧客ターゲットの明確化や開発生産性を高めることで、顧客の情報システム全体のオンデマンド型サービスへの移行を加速させる。