金融市場の混乱は、情報サービス産業にも悪影響を及ぼし始めた。業績好調だった野村総合研究所(NRI、藤沼彰久会長兼社長)の証券業向け中間期(2008年4-9月期)連結売上高は前年同期比9.6%減と大幅に落ち込む。証券業向けビジネスはNRIの中間売り上げの約4割強を占める重点業種だけに、世界的な証券業の不調の影響は避けられなかった。さらに野村ホールディングス(野村HD)によるリーマン・ブラザーズの一部事業の継承が、NRIのビジネスにとってプラスになるかどうか不透明との見通しを示した。

 NRIの中間期連結売上高は1652億円とほぼ前年並みを維持したが、営業利益は前年同期比13.5%の大幅減となった。主力の証券業の落ち込みが予測できた時点で、保険やその他産業向けのビジネスを強化。人的リソースのシフトを進めた結果、売り上げは維持できたが、利益率が下がった。得意の証券業向けのSIでは高い生産性を保てるが、不慣れなSI案件ではどうしても生産性が落ちる。外注費も膨らみがちになった。

 通期(09年3月期)の連結売上高は期初予想を下方修正したものの、前年度比2.3%増の3500億円を見込む。だが、営業利益は同8.6%減の480億円と落ち込む見通し。証券業向けの売上高が期初予想より通期で約180億円縮小する見込みで、これを補うための保険業やその他産業の受注拡大を積極化する。期初では今年度中に証券業の不振は収まると予測していたが、「回復するまで早くて2年かかる」(藤沼会長兼社長)と、予断を許さない状況だ。

 野村HDが、経営破綻したリーマン・ブラザーズのアジア太平洋地域の事業を継承し、かつ1200人の技術者を擁すインド子会社3社を買収することを10月初旬に発表。だが、証券業に精通したIT関連技術者の増加は、NRIのビジネスにとって必ずしもプラスではないとの見通しを示す。旧リーマンの情報システムを活用することになれば、NRIが活躍するIT領域が狭まることも予想され、「中長期的には当社にとってマイナスになる可能性がある」(同)と懸念する。NRIでは、野村HDが買収したインド子会社を「グループ化したい」との意向を示すものの、最終的には野村HDの経営判断に委ねられる。

 また、大手SIerのなかには、外注単価の一律カットなど外注費の削減を進める動きもある。NRIでは「単価を下げることはしないが、外注先の絞り込みはする」方針。証券業以外へのリソースシフトを急ピッチで進めるうえで、新たなターゲットとなる業種に強い有力パートナーとの結びつきをより強化する。NRIと戦略を共有できるパートナーへの絞り込みを進めることで苦境を乗り切る考えだ。