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SPSS 低価格のテキストマイニングツール 一般企業の開拓に本腰

2008/12/01 21:13

週刊BCN 2008年12月01日vol.1262掲載

アンケートの自由記述項目分析に

 データ分析ソフト開発・販売のエス・ピー・エス・エス(SPSS、ジャック・ヌーナン代表取締役)は、テキストマイニング(文章解析)ツールの最新版「Text Analysis for Surveys 3.0」を発売した。価格を42万円(税別)に抑えて機能を絞ったエントリー版。数百万円はかかると言われる同分野で、低価格を武器にしてこれまでテキストマイニングを利用していない企業・団体を開拓する考え。発売後1年間で2億円の売り上げを狙う。

 テキストマイニングとは、非定型文章を言語解析技術を活用して単語やフレーズに分割、出現頻度や言葉の意味を分析して情報を抽出する手法やシステムを指す。学術機関が研究用に使用するほか、コールセンターを持つ企業がアンケートの自由記述項目に記載された文章を解析する際に利用するケースが多い。

 テキストマイニングツールの国内市場は年間400本売れる程度という。笹生智子・マーケティング部部長によれば、「95%の企業は何らかのアンケート調査を実施しているにもかかわらず、テキストマイニングを導入している企業は少ない」と分析。理由として高額な点を指摘しており、「テキストマイニングツールの価格は一般的に数百万円、最低でも50万円以上。企業がアンケートのフリー回答を分析する程度では、投資額が大きすぎる」と説明している。

 新製品「Text Analysis for Surveys 3.0」は、一般価格を42万円(教育機関向けは11万円)に設定。これまでテキストマイニングを使っていない一般企業を新たに取り込もうと、低価格を武器にした。加えて、高度な機能は排除して分かりやすさと使いやすさも差別化ポイントにした。2度目のメジャーバージョンアップになるが、日本語に対応したのは今回が初めてで、国内市場に打って出る製品としては、事実上初期版となる。

 分析操作が容易なのが利点で、「Excel」などに記入された文章を取り込み、キーワードや年齢など分析したい項目を入力するだけで、関連する文章や言葉を抽出できる。また、記載された文章が、「良いか」か「悪いか」がひと目で分かる「感性分析」機能も備えることも差別化ポイントにした。日本語解析には、NTTデータの「なずきエモーションアナライザ ライブラリ」のOEM供給を受け、解析精度を高めた。

 販売方法は直販と間接販売を併用。SPSSの製品は全体の約80%を直販が占めるが、今回の新製品については「専用の販売プログラムを開発するつもりはないが、一般企業にも販売できる製品だけにITベンダーに広く認知させたい」と笹生部長は説明している。同社のディストリビュータパートナーは、丸紅インフォテックとソフトバンクBBの2社。
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