経済環境の変化で“売れ筋商品”が変わり始めている。ソフト開発のエンプレックス(沢登秀明社長)は、ここにきて「プロジェクト収支管理(PBM)」システムの引き合いが急増。顧客企業の売り上げを伸ばすEC(ネット通販)やSFA(営業支援システム)が従来の売れ筋だったが、受注後の収支管理に重点を置くPBMへ需要の中心が移りつつある。不況下で無理に売り上げを伸ばすよりも、財布のひもを固く締めて利益確保に動く顧客心理が売れ筋に影響を及ぼしている。

 エンプレックスは、プロセス管理エンジンをベースに、ECやSFA、PBMなど統合型パッケージソフトを開発している。昨年度(2007年12月期)までは、売り上げを伸ばすECやSFA系がビジネスの中心だったが、景気変調が顕在化した今年度に入って、PBM系の商材の引き合いが増え始めた。今期の受注ベースではPBM系がEC系を抜く見込みで、「来年度はPBM系のライセンスの売上高構成比がEC系を上回る」(沢登社長)見通しだという。

 PBMは、建設業や情報サービス業、広告業などプロジェクト単位で仕事を進める業種が主な顧客ターゲット。こうした業種は、受注後の収支管理がきちんとできていないと、コストが膨らんで赤字になるケースがある。PBMは受注後の収支管理を行うシステムで、“限られた受注案件のなかで確実に黒字を確保したい”というユーザー企業から引き合いが増えた。情報サービス業では、ソフト開発の進捗状況に応じて、そのつど売り上げを計上する工事進行基準の適用が進んでおり、こうした会計基準の変更も後押しする。

 顧客企業は、収支管理に関連して、マーケティング活動の効果にも関心が強く、今後はMRM(マーケティングリソース管理)分野の製品ラインアップの拡充を検討する。MRMとは、販売促進活動や新聞などのメディアに広告を出すなどマーケティング全般に投じたコストが、どれだけ受注や売り上げに結びついているかを管理する仕組み。マーケティング費用を最適化し、利益確保を優先する顧客ニーズに応えることでビジネスを伸ばす戦略である。

 景気が底を打ち、回復に向かうタイミングになれば、再びECやSFAなど「売り上げを伸ばす分野のシステム需要が高まる」と見ている。景気動向に左右されないよう、経済環境に合った品揃えを心がけていくことで事業拡大を目指す。今年度の売上高はほぼ前年並みを見込んでいるが、PBM系の受注が伸びていることから来年度は前年度比5%増を狙う。同社は、財務会計などバックエンド系のERP(統合基幹業務システム)とは異なる製品ラインアップであることから、「フロントエンドERPベンダー」と自らを位置づけてビジネスを展開している。