情報通信関連製品の大手ディストリビュータである丸紅インフォテックが、親会社である丸紅の完全子会社となり、上場廃止などを経てほぼ1年となる。今年度(2009年3月期)は黒字化を果たせる目途がついたという。昨年度は、抜本的な改革の実施で“ウミ”を出すことに専念。今年度からビジネス拡大に向けた策を講じているが、その効果が現れてきているわけだ。

 同社は昨年度から改革を実施。とくに、組織について大きな変更を行った。営業部門でコンシューマ向け事業と法人向け事業、地域などに分かれていた本部に加え、現在ではeビジネスなど新規事業に着手する組織として営業統括本部を設置している。人材についても本部長クラスの入れ替えを断行し、「成功した部分が大きい」(天野社長)とアピールする。しかし、「課題も残っている」と打ち明ける。ディストリビュータとして事業を展開していることから、営業担当者の大半は製品を仕入れて販売代理店に提供するといった単なる卸に徹しているケースが多い。「メーカーが良い製品を開発するために、販売代理店やユーザー企業の声を聞くことや、良い製品を提案するなど、ディストリビューションのあり方を再検討しなければならない」との認識がある。

 “売り子”に徹するだけでなく、販売代理店やユーザー企業の状況を視野に入れた製品を提供する必要性を実感し、「マネジメントが行える人材を増やしていく」という。そのため、今後は人材教育を追求。抜本的な改革で適切な人員配置を行ったものの、各部門ではノウハウの欠落が起こる危険性もある。これを補うため、「定期的に、試験を実施することでスキルの底上げを行う」としている。

 製品面では、コンシューマ市場で人気を博しているUMPCをいち早く台湾メーカーから取り入れて好調に推移。年末にかけて大幅な増加を期待しており、「製品ラインアップの拡充で販売高を増やしていく」方針だ。ただ、コンシューマ市場では他社が取り扱いを開始しているほか、参入するメーカーも増えたことで、「市場を広げなければならない」と、法人に対して拡販していく体制を整備。営業部門内にUMPCに特化した専門チームを立ち上げており、「法人市場での展開を来年度から本格化する」計画を立てている。ほかにも、モバイル関連の製品・サービスの提供という点では、丸紅グループの携帯電話販社である丸紅テレコムとの連携も視野に入れているようだ。

 昨年度まで3期連続赤字が続くなど生き残れるかどうかの瀬戸際に立たされていた同社が、“天野社長体制”となり、今年度で黒字化の見込めるまでに成長したことになる。「市場環境は今後も厳しさが増す。しかし、人材という“企業の土台”がしっかりしていれば不況のなかでも生き残れる」と持論を展開する。