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ネットワールド 仮想化関連で協業強化へ 不況の時こそ強みを生かす

2009/01/12 21:24

週刊BCN 2009年01月12日vol.1267掲載

 ディストリビュータのネットワールド(塩田侯造社長)は、仮想化関連事業でベンダーとの協業を強化する。2009年には米国金融危機による世界同時不況がより深刻化するとの見方が強いなか、自社の強みである仮想化システムの導入がコスト削減や生産性向上につながることをユーザー企業に訴えることで事業拡大を図る方針だ。

 同社は、サーバーの仮想化にとどまらずストレージの仮想化でも製品・サービスの拡大を進めている。ストレージ仮想化では、ストレージメーカーのネットアップと提携。ネットアップのユニファイド・ストレージシステム「NetApp FASシリーズ」を中心として、ネットアップ製品の拡販およびサポートを提供している。「今後も仮想化を切り口に、さまざまなベンダーとのアライアンス強化を図っていく」(塩田社長)方針を示す。

 米国金融危機の影響で先行き不透明な市況感が強まるなか、「顧客の多くがコスト削減を図らなければならない状況に陥っている。コストを削減して生産性を上げるにはIT化が必須。さらにいえば、ITシステムのROI(投資対効果)を高めるには、システムの仮想化が最適だ」とアピール。ここ数年、仮想化を自社の強みとしてビジネスを進めたことで、「不況下でもユーザー企業のニーズに応えられるソリューションを取り揃えている」と自信をみせる。

 08年度(08年12月期)は、仮想化関連事業が好調に推移したことで前年度と比べて成長。「計画通りだった」としている。他社に先行して仮想化を重視したディストリビューションを手がけてきたことが好調の要因だ。「仮想化関連ソリューションを提供するにあたり、技術者などのスキルアップには力を入れてきた」としている。単なる製品販売でなく、販社に対してソリューションを提供できるプロバイダとしてのポジション確立を図り、販社とのパートナーシップ深耕を実現したのだ。「こうした基盤があるからこそ不況も乗り切れる」と断言する。

 業界ではSaaSなどサービスビジネスが拡大するといわれているなかで「将来的にはサポートやサービスを拡充してディストリビューションできるようなビジネスモデルを構築していきたい」考えを示す。ハードやパッケージソフトの販売が厳しく、しかもSaaSなどサービスビジネスの台頭で“中間業者”であるディストリビュータが淘汰されるとの見方もあるなか、「自社の強みを生かし、しっかりとビジネスの方向性を定める」と強調している。
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