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日立電線 スイッチのシェア拡大狙う 代理店/顧客向け教育を強化

2009/03/30 21:28

週刊BCN 2009年03月30日vol.1278掲載

地方での代理店獲得に意欲

 日立電線(佐藤教郎社長)は、国内L2/L3スイッチ市場でシェア拡大に意欲を燃やしている。トップのシスコシステムズに次ぐ2位のシェアを狙っており、販売代理店やユーザー企業に対するトレーニングを強化。同社の製品を理解してもらうことで、拡販体制を整えようとしている。

 現在、同社は国内L2/L3スイッチ市場でシェア3位の位置にいる。主力のギガビットスイッチ「Apresia」を武器に大企業からSMB(中堅・中小企業)までを網羅。なかでも、大学など教育機関で案件を獲得するケースが多く、市場が縮小するとの見方が強いL2/L3スイッチではあるものの、「前年並みの売上高を確保している」(末永正彦・ネットワークエンジニアリングセンタ副センタ長/兼マーケティンググループマネージャ)状況にある。

 ただ、市場の伸びが鈍化していることから、最近は競争が一段と激化しており、ベンダー間での案件の獲得合戦がヒートアップしている。競争に打ち勝つ拡販体制を整えるため、「販売代理店や顧客企業に対するセミナーやトレーニングなどを積極的に実施することで製品の良さを理解してもらう」方針を示している。具体的には、1か月間に2~3回の頻度で、製品に直接触れさせるハンズオントレーニングを全国の主要都市で実施。「既存の販売代理店に限定せず、オープンに行う」としている。実際、今年度(2009年3月期)に東京や大阪、名古屋、福岡などで実施したところ、「予想以上に多くの企業が参加した」という。しかも、ユーザー企業に対するトレーニングに関しては「案件につながったケースも出てきた」と自信をみせている。

 製品面では、10ギガビットなど通信速度を意識したスイッチの市場投入に力を注いでいる。他社がシャーシタイプの大型スイッチで10ギガビットを追求している一方、同社はシャーシ型に比べてリーズナブルなボックスタイプのスイッチで通信速度を高めている。ボックスタイプは、“エッジ”と呼ばれる部分でユーザー企業が購入するケースがあり、シャーシ型と比べて導入が簡単。加えて、2台をつなげて基幹スイッチにもなり得ることから、販売代理店にとっては提案しやすいことがメリットとなる。

 市場が成熟期に入ったといわれるL2/L3スイッチだが、ユーザー企業のネットワークインフラで中核となる機器であることから、提案次第で大きな案件を獲得できる可能性を秘めている。そのため、同社では「さまざまな角度で提案が行えることから、販売代理店との協業を深めることで新しいソリューションを創造していく。とくに、地方で新規の販売代理店を獲得していきたい」との考えを示している。(佐相彰彦)
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