瞬時にパソコンを起動させるソフトウェア「Splashtop(スプラッシュトップ)」を開発する米デバイスVM(マーク・リー社長)は、国産パソコンメーカーや法人市場利用に向けた事業展開を本格化する。来年末には、国内で出荷されるパソコン3000万台への搭載(プリインストール)を目指すほか、企業向けにSIerなどと連携しシンクライアント用の端末などとして利用を促進する戦略を打ち出す方針だ。

 「Splashtop」を使えば、パソコンの電源を入れて数秒で電子メールやゲームなどを使うことができる。BIOSが起動する前に同ソフトのユーザーインタフェース(UI)が表出し、アプリケーションに接続して利用できる。起動までいらいらせずに、数秒でメールをチェックしたいユーザーのニーズに応えた。日本の家電量販店では、同ソフトを搭載したアスース製パソコンが売られている。

 日本での営業活動は、米ターボリナックスと日本法人の元CEO(最高経営責任者)で日本語が堪能なクリフ・ミラー氏がCSO(最高戦略責任者)として陣頭指揮を執る。ミラーCSOは「まずは、パソコンメーカーに搭載を働きかける」と語る。すでに夏モデルで同ソフトを搭載した機種が店頭に並ぶ見通しだ。

 世界ではヒューレット・パッカード(HP)やレノボ、エイサーなどが同ソフトを採用。現在までに世界の出荷パソコンに累計1500万台前後が同ソフトを搭載している。ミラーCSOは「年内には3500万台になり、来年中には1億台を超す」と予測する。日本のパソコン市場は世界の3分の1を占めることから、来年中に日本で3000万台の搭載を見込んでいる勘定になる。日本市場への浸透次第で「OEM(相手先ブランドによる生産)のパートナー(パソコンメーカー)が増えれば、日本に事務所を構える」(同)考えだ。

 一方、法人向けには、第二段階としてSIerとの連携を始める。現在、下準備として大手SIerを中心にアライアンス交渉を進めている。交渉のなかでは、シンクライアント的な利用ができないかという観点から、要望や感触をつかんでいるという。例えば、医療関係のMR(医薬情報担当者)などが病院で見積りをパソコン画面で見せる場合、瞬時に起動しデータセンターに接続して閲覧させることが可能になる。セキュリティ上もデータがパソコンに残らないため、万が一、端末を紛失しても安心である。

 ミラーCSOは、こうした業種業務に応じた案件ベースでSIerと連携することを模索していく。(谷畑良胤)