NEC(矢野薫社長)が、OSS事業を次のステージに進めようとしている。これまでは、大企業を中心にユーザーを獲得してきたが、SMB(中堅・中小企業)市場での新規開拓を重視していく。そのため、情報系システムの基盤拡充やサポート強化などにより、SMBのシステムリプレースの促進を図っていく方針だ。

 NECがOSSベースのシステム提供で力を注いでいるのは、「OSSスタック」と呼ばれるパッケージ化した製品・サービスである。これは、「Apache」「PHP」「Tomcat」「MySQL」「PostgreSQL」など、主要コンポーネントの動作検証を行い、同社の管理ツールなどを組み合わせて、サポートを含めて提供するというものだ。「スタック」として統一することで運用コストを軽減できるのが特徴になっており、低価格を武器にユーザー企業を獲得していく。業務アプリケーションと連動するための検証も進めており、「コンサルティングや構築、運用サービスまでを含めて提供し、新規顧客を開拓する」(大宮虎徹・OSSプラットフォーム開発本部長)としている。

 OSSの導入を促進するため、サポート面も強化。OSSプラットフォーム本部を中心として、OSSミドルウェア技術部門や、システムサポートを手がける「SMSセンター」、顧客窓口の「NECカスタマーサポートセンター」などを連携させるほか、OSS関連ビジネスを手がけるベンダーとのアライアンス強化も進めている。さらに、販社向けに検証施設として「Linux/OSS検証センター」を設置しており、ユーザー企業が求めるシステムの評価ができる環境を整えている。大宮本部長は、「これまでユーザー企業がOSSの導入に踏み切れなかったのは、信頼性が低いとの認識が行き渡っていたためだ。この問題を解決すれば、確実にシステム案件を獲得できる」と自信をみせている。

 最近は、「次世代データセンター」の構築を進める企業が運用基盤としてOSSを活用するケースが増えている。「SaaSやPaaSなどを稼働させるための基盤としてOSSは欠かせない」と言い切る。こうした流れに加えて、SMBへの導入も促していくことで、OSS事業を一気に拡大させていくというわけだ。今年度(2010年3月期)については、「景気悪化が底を打ったといわれているものの、まだまだ先行き不透明な景況感が残っているので、システムの爆発的なリプレースは期待できない」とみており、前年並みを見込んでいる。ただ、「市場全体としてシステム案件の状況が厳しいといえるため、OSS事業が他事業を補完するポジションとして定着する」と判断している。不況を乗り切った段階でOSSが一段と普及するとして、「2~3年後にブームが到来するだろう」とみている。(佐相彰彦)