販売開始時に比べ3.5倍に


 ダイワボウ情報システム(野上義博社長)では、シスコシステムズ製ネットワーク関連機器の販売が好調に推移している。2008年度(09年3月期)の売上高は、販売を開始した06年度と比べて約3.5倍の成長ぶりだ。前年度比でも10%以上の増加。今年度も10%増を狙う。販社体制が整ったことが伸びた要因だが、06年10月の販売契約の締結から認定ディストリビュータとして地道に取り組んできたことが、成果に結びついた。

 ダイワボウ情報システムは、今年度から販売推進本部の販売推進部内に設置したネットワークグループを中心に、シスコのネットワーク関連製品を販売している。専門のグループを設けたことに加え、同社の技術力結集を目的にテクニカル推進本部を新設したことで、サーバーとストレージ、ネットワークを組み合わせた技術を中心としたサポート体制を整えた。こうした組織改革により、中堅・中小企業(SMB)に向けたネットワーク関連製品の拡販を推進している。

 08年度に前年度比10%以上の売上高伸長を達成したのは、全国約90か所の拠点を通じて販社への支援を進めてきたことが大きな要因となっている。力を注いできたのは、販売代理店に対する教育だ。渡邊賢・テクニカル推進本部テクニカル推進部プロダクトエンジニアグループマネージャーは、「分かりやすさを追求した」としている。ウェブを通じてトレーニングやセミナーを開催。ウェブEDIシステム「iDATEN(韋駄天)」を活用している販社は無償で受講できるようになっている。ほかにも、ハンズオントレーニングや技術検証する場の提供などといった支援を進めている。これにより、販社が獲得した1システムあたりの案件額が上昇するという結果が現れた。「サーバーとストレージ、ネットワークを組み合わせた統合インフラを提供するケースも出ている」(渡邊マネージャー)という。スイッチやルータに、シスコ製品をメインに据える販社も増え続けているようだ。 


 ユーザー企業に対しても分かりやすさを提供している。シスコ製品に特化した総合カタログを自社で作成した。このカタログでは、スイッチやルータなど製品カテゴリ別に分類し、シスコの認定ディストリビュータとして各製品の標準価格を設定している。また、導入事例をカタログに掲載することで、シスコ製品でインフラを構築した際のメリットなどをアピール。ユーザー企業の導入意欲を増進させることにつながった。さらに、設置するためのマニュアルを製品に同梱することにより、ユーザー企業が簡単にセットアップできるような工夫も凝らしている。

 国内ネットワーク関連製品を取り巻く環境は、市場が成熟していることから、各ベンダーとも厳しい状況に陥っている。なかでも、スイッチやルータは、どの製品も一定の機能が搭載されているため、コモディティ(日用品)化しているとの見方が強い。しかも、先行き不透明な市況感からリプレースに二の足を踏むユーザー企業が多く、ネットワーク関連の案件がなかなか獲得できないのが実状だ。とくに、SMBではリプレースせずにサポート期間だけを延長するなどといったケースも多くなっている。そんななか、ダイワボウ情報システムが販社を通じて全国に渡ってSMBへの拡販が実現できているのは、「地道な取り組みではあるものの、きちんと提案したことが奏功した」(渡邊マネージャー)とみている。今年度は販売支援を一段と強化していることから、「前年度と同様に売上高10%増は確実」(黒河剛・販売推進本部販売推進部ネットワークグループマネージャー)と自信をみせている。(佐相彰彦)

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次世代DC向け事業を視野に入れる

2006年にシスコシステムズと販売契約を締結し、これまで一貫して販社への支援強化を進めてきたダイワボウ情報システムは、シスコ製品が「(価格面など)決して自社には向いていない」というユーザー企業の認識を覆したことになる。

 SMB市場でシスコ製品の導入を促した同社が自社ビジネスの拡大策として見据えているのは、次世代データセンター(DC)へのインフラ構築など「統合化」や「仮想化」などを視野に入れたシステム案件の獲得だ。好調なビジネス状況をみる限り、「サーバー」「ストレージ」「ネットワーク」といった企業のICTインフラを支える三本柱を確立しつつあり、同社は多くのシステム案件に対応できる体制が整ったといえるだろう。

 また、DISソリューションを始めとするインテグレーションを手がける子会社との連携など、グループ全体で新しいビジネス領域に参入していくことがポイントになってくるといえそうだ。新領域への参入でカギを握るのが、新設したテクニカル推進本部である。ここには、ネットワークを含めたICTインフラを構築できる技術者を集結させている。渡邊賢マネージャーは、「基本的には大・中・小などを絞らずに提供していきたい。とくに、DCを所有する販社への提案を模索する」意向だ。次世代DCの構築を進めるベンダーの多くは、PaaSやSaaSなどクラウドサービスの確立で事業拡大を図ろうとするケースが多い。ダイワボウ情報システムがインフラ構築でどのように絡んでいけるかどうかがカギを握る。

 ただ、SMB市場で同社がシスコ製品をベースにユーザー企業を増やしていることは大きい。クラウドサービス浸透の一つとして、SMBの利用がトリガーになるとの見方があるからだ。ダイワボウ情報システムとDC所有のベンダーがアライアンスを組んで、SMBに対してSaaSを提供していくことなどが考えられる。(佐相彰彦)