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武生商工会議所ITC 経営者と二人三脚で業績改善

2009/10/13 21:41

週刊BCN 2009年10月12日vol.1304掲載

 リーマン・ショック以降の景気回復が遅れるなか、地域のITコーディネータ(ITC)はユーザー企業の経営サポートに奔走している。福井県越前地域にある武生商工会議所所属の先織久恒ITCは、「北陸は大手メーカーの下請け、孫請け企業が多く、製造業不振の深刻な影響を受けている」と明かす。極めて厳しい経営環境だが、少しでも改善意欲のある企業なら、経営者と二人三脚で業績改善に努める。

改革のキーワードは“総力戦”

 キーワードは“総力戦”だ。経営者だけが経営課題に向き合うのではなく、社員全員で課題に取り組むこと。

 例えば、支援先の運送業では、燃料費をグラフ化して社内に掲示。燃費のよさを積極的に評価することで社員間の競争意識を刺激した。同社は法定速度を遵守することで燃費を抑える取り組みは行ってきたが、より細かなアクセルやブレーキ操作を工夫することで福井-大阪のトラックでの往復換算で月平均3万円ほど節約できた。

 ほかにも、ロウソクやお香の販売店で、現場店員の意見を積極的に反映した店づくりに変えたことで売り上げを伸ばした。また、婦人服販売店では車イスが通れる通路を確保。ターゲット層を広げると同時に、減らした商品陳列スペース分の店頭在庫を圧縮することでキャッシュフローを改善した。日常の細かな業務に踏み込んで改善するには「支援先企業の社員と危機意識を共有し、ノウハウを結集することが大切」(先織ITC)と指摘する。

 支援を必要としている地元企業に向けては、ITC本来のノウハウに加え、中小企業庁の地域力連携拠点事業、武生商工会議所などさまざまな機関や補助金を最大限に活用して支援に当たる。不況の真っ只中にある今、個々の企業の本業が軌道に乗らないかぎりIT投資も見込めない。先織ITCは、「今ある需要を刈り取るだけでなく、投資対効果をユーザーとともに創り出していくことが大切」と、中小企業の経営支援に汗を流す。(安藤章司)

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