保守・運用サービスの東芝ITサービス(石橋英次社長)は、仮想化事業を強化する。2009年9月に開始した仮想システムの運用・保守サービス「V’s-care」に新メニューを追加。物理から仮想システムへ円滑に移行するための調査やシステムの設計・構築、移行サービスを加え、「ユーザー企業の仮想化関連の要望に応えられる」(石橋英次社長)メニューをほぼ揃えた。約半年間のユーザー企業への提案活動を通じて、運用・保守だけでなく設計・構築の要望も強いことを実感。ビジネスチャンスがあると判断した。中期的な戦略ビジネスに位置づけて全国で拡販し、2012年には「V’s-care」で売上高50億円を狙う。

石橋英次社長
 新たに追加したのは、システム構築する際の「上流工程」に位置づけられるサービス。物理システムから仮想システムに移行するための調査からシステムの設計・構築、データなどの移行サービスまでを網羅したメニューだ。価格は規模によって異なるが、物理サーバー20台から仮想サーバー2台に移行した場合のサービス価格が400万円。中堅企業の事業所を主なターゲットにして拡販する。

 昨秋に先行して販売開始した運用・保守サービスを提案するなかで、「システムの設計・構築も依頼したいという要望が予想以上に多かった。個別に対応したが、要望があまりにも多いことからメニュー化を決めた」と井手弘・仮想化推進プロジェクト部長はメニューを拡充した理由を説明する。東芝ITサービスは半年間、主要商圏だけでなく全国網の営業拠点を生かして地方でも営業展開。「仮想化の需要は地方でも非常に高まっている」(井手部長)こともメニュー化を決定する要因になったという。

 全国展開するために、仮想化関連の技術者を育成するための独自プログラムを作成し、教育をスタートした。仮想化ベンダーの資格取得にも取り組み、ヴイエムウェアが展開する「VCP」と呼ぶ認定資格取得者は7人(2010年3月末時点)になった。これらの技術者を全国の拠点に配置し、全国均一のサービスを提供できるようにしている。

 井手部長は、とくに地方の中堅企業から強いニーズを感じており、「地方でのビジネス展開では地場ITベンダーとのアライアンスも考えている。アプリケーションの開発・導入は得意だが、仮想化も含めたシステムのインフラ関連が苦手というITベンダーとは友好的に連携できるはず」と話し、ユーザーへの直接提案だけでなく、協業によるビジネス拡大も視野に入れている。

 東芝ITサービスは仮想化事業を強化するため、昨年度に社長直下の専任チームを組織していた。昨年度末でミッションを終えプロジェクトチームは解散し、現在はその一部メンバーが集まってクラウドビジネスの長期戦略立案を進めている。(木村剛士)