ファイルメーカー(石井元社長)は、データベース(DB)ソフトの拡販に向けてパッケージの販売に重きを置く方針を固めた。量販店とのパートナーシップを深め、最近では量販店経由のライセンス販売も伸びつつあるようだ。法人向けソフトを提供するメーカーがクラウドを中心にサービス型モデルへの移行し、このモデルでの事業拡大を模索しているなか、従来のビジネスを深耕することで販売を伸ばしていくというのが同社の戦略だ。

 ファイルメーカーのDBソフト「FileMaker Pro」シリーズは、SOHOや中小企業に利用されているケースが多く、デザイナーなどクリエイティブな分野にユーザーが多い。石井社長は、「アップルの『iMac』のようにファンが多いのではないか」とみている。一方で「法人市場で広く知られていない」という課題も残っている。その課題解決策として、同社は「FileMaker Pro」が企業規模を問わず利用できることを訴えており、販売代理店を通じて大企業の1部門などに提供するビジネスモデルを構築しつつある。ソフト開発プログラム「FBA(ファイルメーカー・ビジネス・アラインス)」を提供しており、受託ソフト開発を事業柱とするベンチャー企業など各地域でパートナー企業を獲得している。

 このようなパートナー策によってユーザー層は徐々に広がっているものの、「最も重要なのは、従来からビジネスモデルとして確立している量販店経由の販売」という。パッケージ販売が厳しい状況にあるなかで、ソフトメーカーはサービス型モデルなどにシフトする動きが活発になっているが、それとは対極の戦略である。「機能など製品力に関しては競合に負けない」。市場の流れに乗らなくても製品が売れるとの自信からきている戦略といえる。また、他社との差異化を図るといった意味合いで、従前のビジネスモデルを踏襲することを判断したともとれる。

 実際に量販店経由の販売は、「順調に伸びている」という。パッケージについては横ばいだが、量販店が法人事業部などでライセンス販売を展開する動きが出ていることから、それに伴って成長しているようだ。量販店経由の販売に重きを置き、パートナーシップ深耕に力を注いできた成果だ。

 量販店でのパッケージ販売強化策については、「ユーザー事例集を作成して店内に置くなど、ユーザーに分かりやすい提案をしていく」としている。ユーザー事例は、すでに300以上に達しているという。そのなかから、ユーザーになりうる企業の関心をひく事例のピックアップを進める。

 日本法人の売上高比率は、ワールドワイド全体の20%程度という。海外メーカーのなかでは、比較的高い水準にある。そのため、米国本社では日本市場を重要視している。その期待に応えるためにも、日本法人では「当面は、思い切ったことを行わずに安定成長を続け、利益を確保する」ことに徹するようだ。(佐相彰彦)