メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS、内野弘幸理事長=ウイングアークテクノロジーズ社長)の加盟ベンダー4社の製品が、中国四川省にある政府系通信キャリアの中国電信西部信息中心(チャイナテレコム)のSaaSソリューションとして、省内約170万の中国企業に向けて提供を開始する。MIJSにとっては“空中戦”と位置付けられる動きだ。

 今回のサービス提供は、四川省の最大手ソフトベンダーである成都ウィナーソフト有限公司の協力を受けて実現した。MIJSは、昨年4月、中国・成都市で開催した「第8回中国国際ソフトウェア博覧会」の会場で、市内のソフトベンダー二百数十社が加盟する成都市軟件行業協会(成都市ソフトウェア協会)と覚書を交わした。この中核ベンダーが、成都ウィナーソフトだ。

 成都市は、日本のソフトベンダーにとって、海外オフショア先の重要拠点。内野理事長は「年に数回、交流会を開くなど、相互のノウハウや技術力などをもち寄り、強力なパートナーシップを築きたい」としていたが、実際問題として、オフショア中心の受託開発がメインの中国のITベンダー経由で日本のソフトが売れるルートが構築できるかは不透明だった。

 しかしそれから8か月以上が経ち、クライアント/サーバー型のシステムに、「パッケージ」ではなく「SaaS」で売るスキームを整えた。中国のローカル企業へSaaSのかたちで提供するには、現地にインフラを設置する必要がある。今回の件で、デジタルチャイナが自前でインフラを構築したか、あるいはMIJS用にデータセンターを場所貸しするのかどうか、言質はとれていない。しかし、MIJSの機動力を生かして、現地のインフラを使う交渉をしてきた成果には違いない。

 成都を経由した中国企業への販売を“空中戦”としたのは、MIJSにはもう一つ、“地上戦”として台湾のITベンダーを介した戦略があるからだ。10年10月には、台湾ITベンダーが加盟する中華民国情報産業協会(CISA)と覚書を交わしている。CISA日本事務局の蕭烱森・日本顧問は「中国と台湾は、10年6月の『両岸経済協力枠組協議』の締結で、関税が取り払われた。日本から中国へソフトを輸出するには20%程度の関税がかかるので、台湾経由でソフトを流通させるメリットは大きい。また、中国のローカル企業にシステムインテグレーション(SI)するベンダーの上位に台湾系ベンダーがいるという実績もある」と、MIJSと強固な関係を築くことは、日本と台湾の両国のベンダーに有益という。

 MIJSの内野理事長は「MIJSとCISAで、一緒に中国で展開することで合意した。今後、両者で中国内のイベント開催や日本のテクノロジーを中国へ展開する方法を検討する。場合によっては、MIJS加盟のベンダーと台湾ベンダーが協業し、特定のユーザーや特定領域の業種にSIを展開することもありうる」と話す。

 現在、MIJS加盟のソフトベンダーで中国に拠点を構えているのは13社。主に上海を中心とした沿岸部の日系企業に対して、営業活動を続けている。(谷畑良胤)