──中堅・中小企業(SMB)市場で強いオービックやオービックビジネスコンサルタント(OBC)は、競合にあたりますか。

 田村
 最初の検討リストに入れられていることはありますが、ほとんど競合にはあたりません。

 ──SMB市場では、オービックやOBCだけでなく、応研やピー・シー・エー、OSKなど、老舗の国産ベンダーが広く支持を得ています。シェアを奪っていくという感覚とは違うということですか。

 田村
 シェアを奪うということは考えていません。まったく新しいことを始めたり、事業所を新しく立ち上げたりするときのプラットフォームになるのが「NetSuite」。現在、システムが動いていて、何も問題がなければ、変える必要はないでしょう。

 ──既存のベンダーがクラウドに積極的でない理由の一つとして、チャネルの問題があると思います。クラウドサービスの提供では、パートナーが提供形態や価値訴求の変化を迫られるからです。クラウドサービスのチャネルについて、どのようにみていますか。

 田村
 ERPのクラウドサービスを売っていくためには、企業が新しい考え方をもつ以上に、売る側が考え方を改めなければなりません。価値の訴求方法や導入方法は、これまでの延長線上ではだめな場合が多いのです。さらにいえば、スキルセットも変えていく必要があります。売る側にとってはチャレンジになりますが、そのぶん、ある程度の方法論が確立されれば自信につながります。

 私自身、オンプレミスの世界にいましたが、ネットスイートに来てカルチャーショックを受けました。いろいろな違いがあって、少なからずショックを受けている人は少なくありません。単純にチャネルの問題というよりは、売り方も導入の方法も、ゼロから変えていかなければなりません。

 ──現在抱えていらっしゃるパートナーは、変化に対応できているのでしょうか。

 内野
 例えば、パートナーの一社であるアイネットは、DCを利用してガソリンスタンド向けのシステムを月額で提供していて、ストックビジネスに慣れていました。ですから、ストックで価値を生むモデルを適用しやすかった。苦戦するのは、自社でDCをもってクラウドサービスを提供しているベンダーでしょう。これまで積み上げてきたSIのモデルがあり、ひと筋縄ではいきません。SMB向けに会計パッケージを提供しているベンダーも、既存のチャネルが強固で、クラウドサービスの提供を始めるのは難しいと思います。

 ──今後、パートナーを増やしていくお考えですか。

 田村
 パートナーは増やしますが、厳選していきます。いろいろと話はいただいていますし、契約を結ぼうとすればいくらでも結べますが、「世間がやっているから当社も取り組む」という姿勢のベンダーはリスクが高い。パートナーが販売できるようにトレーニングする必要もありますし、断っている件数のほうが多いのが現状です。特定の分野で強みをもっているパートナーが望ましいですね。

 ──現在の直接販売と間接販売の比率はどれくらいですか。

 田村
 半々くらいです。

 ──パートナー向けの施策として、何を打ち出していきますか。

 田村
 まずは、パートナー向けのトレーニングプログラム。オンプレミスのように提案していたのでは、だめなことがたくさんあります。クラウドであるがゆえに、教育プログラムは非常に重要です。富士通と富士通マーケティングは、その下にパートナーをつけようとしているので、それらのパートナーも間接的に支援していきます。

 ──海外と比較して、日本企業の特徴は……。

 内野
 海外拠点への展開は、日本企業に特有の意識でしょう。特にアジア展開へのモチベーションが高い。

 田村 たくさんありますね(笑)。例えば、99.98%の可用性は立派な数字だと思います。自社でサーバーを立てると、何回が止まることがある。ただ、自社保有の場合ではそれが許せるが、クラウドで止まると許せないというユーザーがいます。

 SLAが99.5%で実績が99.98%だから、自社でその数字を達成しようとすると大変ですが、止まったときには「何だこれは」となる。米国の企業は、そうしたところを割り切って考えています。日本企業は、自分たちの知らないところでシステムが止まることを、生理的に受け入れられないようです。

 そのほか、これは日本にCIOはいるのかどうかという議論になってしまいますが、海外展開の青写真を描いて強力なリーダーシップを敷いている企業は、あまり多くないと感じています。

グローバルでは、間接販売の比率が高まっている。新たにアクセンチュアとMcGladreyがパートナーに加わった

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