東芝ソリューション(TSOL)が、「賢いM2M(マシン・トゥ・マシン)技術」の開発に力を入れている。M2Mは、端末などの機械からデータを吸い上げ、ビッグデータとして分析する仕組み。TSOLは、端末側にも「ある程度のインテリジェンス(知能)をもたせる」(エンベデッド要素技術開発担当の吉川寿広参事)ことで、ビッグデータ分析の効率を飛躍的に高める技術を確立しつつある。

 ビッグデータの分析は、コンピュータリソースが安く、大量に使えるようになったことで急速に普及しつつある技術である。しかし、データ量が増えると効率が悪くなったり、個人情報やプライバシーなど、場合によっては必要のないデータまで手にしてしまったりする危険が伴う。このため、サーバー側の分析能力の向上と同様に、端末側である程度の情報に絞り込む分析機能をもたせる。 

東芝ソリューション(TSOL)の吉川寿広エンベデッド要素技術開発担当参事

 例えば、超小型カメラにデータ処理用のCPUを乗せ、この小型カメラに写った人間の性別、年齢、表情などをデータ化。個人が特定できる顔の映像は記録せず、数値化された数値データだけをサーバー側に送ることが可能になる。 

データ処理用のCPUを乗せた超小型カメラ

 このケースでは、ネットワーク上に流れるデータは、分析によって推測される性別、年齢、表情のパターン(笑っている、怒っている、無表情など)だけで、「データの量は映像とは比べものにならないほど小さい」(TSOLの吉川参事)ので、ネットワークやサーバーへの負荷を大幅に軽減できる。また、顔が写っている映像は含まないので不必要な個人情報を記録せず、個人情報やプライバシーの保護にもなる。

 このほか、「エンドポイントエージェント」と呼ばれる制御ソフトをカメラやセンサに組み込むことで、必要とするデータだけをサーバー側に上げる“スマートなビッグデータ”の実現を目指す。課題は端末側のコストがかさむことだが、「クラウドやサーバー、ネットワーク、端末のトータルのコストでみて、最もパフォーマンスがよい選択を提案する」(吉川参事)と、M2M向けの“賢い端末”という選択肢を新たに加えることで、コストパフォーマンス向上の可能性を広げるアプローチを採る。

 社会インフラ向けのシステム構築に強い東芝ソリューションは、M2Mやビッグデータ関連技術の開発に力を入れ、今回の「賢いM2M技術」もその一環。こうした取り組みを行うことで、関連事業の一段の拡大を目指す。(安藤章司)