流通・小売業向けネットビジネスの最適解を求めてITベンダーの試行錯誤が続いている。O2Oやオムニチャネル化、ビッグデータ分析など目まぐるしく変化するネットビジネス環境に適応するために新システムやサービスの開発に力を入れている。ITベンダーは「売り上げに直結する」「変化適応性が高い」「安い」の流通・小売業の心に響く三つのキーワードを軸に流通・小売業向けビジネスの拡大を目指す。

 ネット通販(EC)システムを月額課金(ASP)方式で提供するGMOメイクショップは、「現時点で必要十分な機能をタイムリーに実装する」(向畑憲良社長)ことをモットーにして機能拡充を続けた結果、ライバル他社に比べておよそ3倍の650機能余りに増やした。機能の取捨選択は、売り上げに直結するかどうかの一点であり、「近未来の機能を先取りするのではなく、小売りがネットビジネスを展開するうえで、今、必要な機能だけ」に絞り込んで、しかも、どのベンダーよりも早く実装することに重点を置く。平均すると毎月10機能を新たに追加しているほどのハイペースだ。

 NECは流通・小売業向けのネットビジネス対応システムとして「NeoSarf/DM」を開発しているが、「重視しているのは変化に適応する能力だ」(山田寛・流通・サービス業ソリューション推進本部マネージャー)と話す。とりわけスマートデバイスを活用した顧客接点の広がりには目をみはるものがあり、「当社だけですべて対応できるものではない」と、必要に応じて流行の最先端に強いベンダーと協力することも惜しまない。NECは伝統的に流通・小売業の基幹業務システムに強く、フロントエンド系では、それを得意とするベンダーと積極的に組む方針だ。

 一方、前出のGMOメイクショップは、ネット通販領域に強いが、基幹業務システムは先行するベンダーに一日の長がある。そこで今年1月に「MakeShopテクニカル・パートナー認定制度」を開始した。基幹業務系など相互補完の関係が築けるパートナーを対象に接続口(API)を公開し、アプリケーション同士を容易に連携できるようにした。先行して昨年10月にはERP国内大手のオービックビジネスコンサルタント(OBC)の「奉行シリーズ」との連携を実現している。

 GMOメイクショップのユーザー数は直近で2万2000店舗余りで、2013年の総流通額は1000億円を超えた。「今年は1300億円突破を目指す」(向畑社長)と意気込む。NECも主力の「NeoSarf/DM」で向こう5年で周辺サービスも含めて「100億円超えのビジネス規模に育てる」(山田マネージャー)としており、目まぐるしく変わるネットビジネスに素早く対応していくことで売り上げ増を目指す。(安藤章司)