キヤノンソフトウェア(加藤高裕社長)が開発したウェブ会議システム「IC3(アイシーキューブ)」のライセンス販売が伸びている。同社が過去5年間で販売してきた累計サーバーライセンスと同じ数量を、「向こう3年で販売できる見通し」(同社の橋本史朗・パッケージソリューション事業本部営業二部営業1課担当課長)と、手応えを感じている。この背景には、ウェブ会議システムの用途の広がりがある。

キヤノンソフトウェア
橋本史朗
担当課長
 これまで、いわゆる専用線を用いるような本格的な「テレビ会議」は、テレビ会議専用の会議室設備が必要になるなど大がかりなものだった。これに対して「ウェブ会議」はインターネットを使うことで、映像を交えた音声通話の敷居を格段に下げた。さらに近年は、SkypeやFaceTime、LINEといった一般消費者向けの基本無料の「ビデオ通話」サービスが浸透し、個人レベルで日常的に使われるようになっていることも、企業におけるウェブ会議の利用頻度の高まりにつながっている。

 IC3は、客先設置型のサーバーライセンス方式と、月額課金のSaaS方式の二つの方式で販売している。前者は5拠点同時接続ライセンス込みで95万円(税別)から、後者は2拠点同時接続ライセンス付きで月額9800円(初期費用1万円、税別)。従来の「テレビ会議」の流れから考えれば、会議室と会議室を結ぶケースが大半だったので、2拠点同時接続のライセンスで済んでしまう。例えば東京オフィスの会議室に5人、上海オフィスに3人集まって計8人で会議をするときも2拠点同時接続で済むわけだ。したがって客先設置型の5拠点同時接続ライセンスもあれば、おおかた事足りてしまう。

 ところが、前述のようにスマートフォンやタブレット端末の普及によって、個人レベルでの「ビデオ通話」が一般的になってきている現在、ビジネスマンが出張先のホテルから会議に参加したり、在宅勤務の社員が自宅から接続したり、あるいは移動中でも会議を傍聴するといった使い方が「あたりまえのようになってきている」(橋本担当課長)。一般社員だけでなく、タブレット端末片手に海外を飛び回る社外取締役に取締役会へ参加してもらうときにも、「ウェブ会議が大いに役立つ」状況になると、同時接続拠点の増加が一気に進むことになる。

 キヤノンソフトウェアでは、こうした利用シーンの変化に早くから着目。スマートデバイスのAndroidやiOS端末へのIC3の対応を進めてきた。とりわけ画面が比較的大きく、カメラが標準で搭載されているタブレット端末は出張先や移動先、在宅勤務中でも活用しやすい。さらにプレゼンテーション資料の画面共有や、ファイルのダウンロード、あるいは「情報セキュリティの観点から、資料を見せるだけでダウンロードさせない」という選択肢など、ビジネス用途に適した機能を多く備えていることなどが評価され、IC3の新規導入やライセンスの追加購入が相次いでいる。同社では向こう3年でライセンス販売の倍増に意欲を示す。(安藤章司)