ニュース

クローズアップASEAN 現地で日本のITが売れる“これだけの理由”

2014/12/18 18:54

週刊BCN 2014年12月15日vol.1559掲載

挑戦してみるか、ブルネイ

 ASEANへの事業展開に取り組んでいる日本のITベンダーの地域戦略をみると、ASEAN10か国の一人あたりのGDP(国内総生産)の順で市場開拓を進めていることがわかる。1位のシンガポールや3位のマレーシアは古くから注目を集め、すでに現地でビジネスを展開している日本のITベンダーが多い。最近は、真ん中あたりの5位につけているインドネシアが注目を浴びており、その市場開拓に挑む日本のITベンダーが増えている。では、10位のミャンマーはどうか。経済力が乏しく、市場開拓のハードルが非常に高いとみられ、現在はNTTデータなど、一部のプレーヤーしか、現地での事業展開に取り組んでいない。

 そういえば、ASEAN諸国のなかで、日本のITベンダーに“無視”されている国がある。面積が小さく、見落としがちなブルネイだ。

 正式名、ブルネイ・ダルサラーム国──。オランウータンの生息地として有名なボルネオ島の北部に位置する国で、面積はわずか5765kmと、三重県と同程度。そんなブルネイだが、実は石油や天然ガスなどの資源が豊富で、2013年の一人あたりのGDPは4万米ドル以上となっている(推定値、外務省調べ)。1位のシンガポール(5万2051米ドル)に次ぐレベルを誇り、3位のマレーシア(1万548米ドル)を大きく引き離している。首都バンダルスリブガワンは、現代的な建物が多く、屋根が金色に飾られた大きなモスクが国の豊かさを物語る。

 外務省によると、ブルネイは経済水準が高く、社会福祉も充実しているという。主要産業は、石油と天然ガス。公用語であるマレー語のほかに、英語が「広く通用する」そうなので、現地での事業展開のハードルは低いとみられる。2012年10月時点でブルネイに在留している日本人は147人(外務省調べ)。この数字からは、ITベンダーを含め、日本企業は現地でほとんど活動していないことを読み取ることができる。

 ブルネイで誰にどんなIT製品・サービスを提案すればいいのか。そして、どのようなリスクを考慮する必要があるのか。未知の国であるブルネイは、すぐに開拓できる市場ではないかもしれないが、経済力を考えれば、いつまでも無視するわけにはいかないだろう。(ゼンフ ミシャ)
  • 1