NEC(遠藤信博社長)は、2015年度(16年3月期)に、日本からの直接輸出を含めた中華圏・APAC(アジア・太平洋)地域の売上高を3000億円に拡大する。中華圏・APAC本部の塚本武本部長は、「NECのグローバルビジネスは、中華圏・APAC地域がけん引する。海底ケーブルなどの日本からの直接輸出を除けば、14年度には、この地域が海外売上高の52%を占める見込みだ」と意欲をみせる。

塚本武・中華圏・APAC本部本部長

 NECの13年度の中華圏・APAC地域の売上高は2395億円。内訳は、中華圏が約700億円で、APAC地域はオーストラリア、シンガポール、インドネシア、タイ、その他の順に売上高が大きい。塚本本部長は、今後について「中華圏で5~10%、APAC地域で2ケタ以上の成長率を目指す」と、中華圏よりもAPAC地域に期待を寄せていることを明らかにした。

 その理由の一つが、中国ビジネスに日系IT企業としてのやりづらさを感じていること。ユーザーの中国IT企業の優先的採用や、日中政治摩擦などの影響で、巨大な中国ローカル市場を日系IT企業が開拓するのが難しくなっている。NEC(中国)の14年度(本社会計の15年3月期)の売り上げは、ローカル企業・政府関連が全体の70%を占める見込みだが、「政府関係のビジネスに、単体で入り込むことができない」(日下清文総裁)ことから、ローカルSIerなどのパートナー企業を通したビジネスが中心だ。

 一方、APAC地域のオーストラリアやシンガポール、インドネシアでは、すでに売り上げの95%程度をローカル企業・政府から上げ、市場に深く入り込んでいる。塚本本部長は、「中国とは違い、日系IT企業だからといってビジネスがやりづらいということはない。また、国の数が多いので、特定の国で事業が落ち込んでも、その他の国が補てんしてくれるので、全体ではバランスよく成長させることができる」と説明する。GDP成長率も中国に引けをとらない。

 今後、中華圏・APAC地域で共通して力を入れていくのが、顔認証などのセキュリティソリューションだ。13年4月にシンガポールに新設したグローバルセフティ事業部(GSD)を戦略拠点にして、各地域の公共分野を中心に拡販する。塚本本部長は、「APAC地域の新興国は一定の経済レベルに達して、現在は安心・安全を求める機運が高まっている」と期待する。(上海支局 真鍋武)