NEC(遠藤信博社長)は、ASEANで自動車メーカーと販売店(ディーラー)をつなぎ、販売やマーケティングに関する情報を管理・共有するクラウドサービスの提供に乗り出した。月額9万円からの価格で販売店に売り込み、5年後には、タイなどASEAN各国で約3000店への納入を目指す。ASEANでは、中間層の拡大につれて自動車の販売が活発化して、ディーラー間の競争が激しくなりつつある。NECは、今回提供するサービスを販売力を高めるためのツールとして訴求し、ディーラーの獲得に動く。(ゼンフ ミシャ)

野島弘邦
マネージャー
 「ここタイにおいても、クルマは店に置いておけば売れるというような時代はもう終わってしまった」。2013年の一人あたりのGDP(国内総生産)が5647米ドル(外務省調べ)に上昇し、国民の購買力が高まっているタイの自動車市場について、NEC第二製造業・自動車ソリューション事業部自動車インテグレーション部の野島弘邦・マネージャーは、そう語る。

 ASEANでは「TOYOTA」や「Honda」のクルマが人気を集めている。「販売されている自動車の約70%が日本ブランドだ」と野島マネージャー。NECが提供しているクラウドサービスは、日系を中心とする自動車メーカーと地元のディーラーをシステム上でつないで、ブランド戦略や売り方についての情報を管理・共有しやすくして、販売力の向上に結びつけるもの。さらに、メーカーは、各ディーラーでの修理期間はどのくらいかを把握して、保守サービスの標準化に取り組むことができる。

寺岡謙二
部長
 NECはサービスの販売に際して、「まず、自動車メーカーに営業をかけ、活用のメリットを理解してもらったうえで、メーカーからディーラーを紹介してもらう」(同事業部の寺岡謙二・ソリューション推進部長)という流れを構想している。サービスの導入先になるのはディーラーだが、メーカーを巻き込んで、ディーラーに採用を促してもらうという戦略だ。

 現在、タイで提案活動を開始しており、1社で稼働を開始している。今後は、事業領域をASEAN各国に広げる。「ベトナムやミャンマーなど、まだ自動車市場が立ち上がっていない国も早い段階から視野に入れて、市場が立ち上がった際にはすぐにサービスの提供ができるよう、早期にサービス基盤を用意したい」(寺岡部長)としている。NECは同様のサービスをグローバルで展開して、5年後に1万店への納入を目標に掲げているが、そのうち、約3000店にあたる「30%をASEANで獲得したい」(同)という。

 NECはサービスの販売を促すために、導入にあたっての教育やヘルプデスクも用意する。自社のノウハウを提供することで、導入を活性化させる狙い。