データセンター(DC)サービスのKVH(東瀬エドワード社長)のプライベートクラウドが“ヒット商品”に育ちつつある。同事業のスタートから1年を待たずして「引き合いが好調」(近藤孝至・プロダクト・マネジメント部シニアエキスパート)に推移。同事業の売り上げ規模は、向こう2~3年で今期(2015年12月期)売り上げ見通しの数倍に増える手応えを感じている。ポイントはクラウド基盤の「OpenStack(オープンスタック)」と「NFV(ネットワーク機器の仮想化)」の組み合わせだ。

近藤孝至
シニアエキスパート
 KVHのプライベートクラウド「Type-S (タイプ・エス)」の引き合いが増えている背景には、Amazon Web Services(AWS)やSoftLayer、Microsoft Azureといったパブリッククラウド市場の拡大が挙げられる。DCサービスを展開するKVHからすれば、AWSやSoftLayerなどはむしろ“ライバル”にみえなくもないが、「拡張性や柔軟性、俊敏性で勝るクラウドサービスをさまざまな業務アプリケーションで活用するケースが増えた」(近藤シニアエキスパート)ことが、結果としてKVHのプライベートクラウド活用にもつながっているという。

 こうした動きを受けて、KVHでは自社のプライベートクラウド「Type-S」をAWSやSoftLayer、Azureとの専用線で接続するとともに、国際標準の「OpenStack」を「Type-S」の基盤に採用。加えてネットワーク機器を仮想化する「NFV」技術を採り入れて、ルーターやファイヤーウォール、ロードバランサなどの機器類をソフトウェアに置き換えた。とりわけNFV対応は評価が高く、プライベートとクラウドの両方をコストや用途見合いで併用するユーザー企業やSIerから引き合いが強まっており、「2015年はType-S事業の本格的な拡大期」(同)と、KVHでは位置づけている。

 クラウドの特徴的な技術である仮想サーバーは、必要に応じて仮想サーバーを自由に増減できることは周知の通り。だが、ネットワーク機器やネットワークそのものは「仮想サーバーほど自由度がなく、通信帯域の増減への柔軟性、俊敏性は大きな課題だった」(同)と話す。KVHでは持ち前のネットワーク領域の強さを生かし、NFVやSDN(ネットワークの仮想化)への対応を重点的に推進。「Type-S」ではNFVの技術に長けたミドクラの技術を一部に採用している。

 プライベートクラウドならではの強みやコストメリットを打ち出すことでビジネスを伸ばす。(安藤章司)